中学校での戦型の決定 Part1

卓球では「戦型」という概念が存在し、それによってプレーの様相が大きく異なります。これは卓球の醍醐味の一つですが、時に大きな問題となることがあります。

 

今回から三回に分け、中学校で卓球を始める子供たちの戦型の決定について考えていきます。

 

                      

教員による押しつけ

                      

中学女子の卓球では、ペンに粒高を貼った前陣異質型が多く存在するのが特徴的です。私が現在外部コーチをしている学校では前陣異質の人数が最も多く、そこにドライブ主戦型、カット型と続きます。どうもこの前陣異質型(カット型も同様のようですが)、顧問の先生によって一方的に決定されているようなのです。私はその決定に関与できなかったのですが、先生が生徒たちを見て運動が苦手そうな子を前陣異質型にしているとのこと。

私はその方針について納得できません。立場上部活動の運営にはタッチしないのですが、前陣異質型を強いられるのはかわいそうだなと思います。(この理由の説明はPart2へ譲ります)

 

                      

裏ソフトが大正義

                      

私は10数年卓球を続ける中で、ある考えを持つようになりました。それは、「総合的には裏ソフトが最も優れている」ということです。

まず、裏ソフトによるドライブは物理的に最も合理的です。回転をかける技術さえ習得すれば、最も相手コートへ安定して入る軌道を作ることができますし、相手のボールが多少違っていても自分の回転に書き換えて送球できるため対応できる幅が最も広いです。

さらに裏ソフトは扱える人や経験者が多いために指導を受けやすく、周りにお手本を探すことも容易です。外部に指導者を探すことも、他の戦型に比べれば遥かに容易です。

一方前陣異質型となると、中学生に教えられるほど理解が深い人は非常に限られます。シニアの方には一定数いらっしゃるかもしれませんが、いろいろな点で中学生の卓球とは異なるため指導者として適切かは見極めが必要です。上手なお手本も周囲に存在しません。

一定の水準以上の指導を受けづらくお手本も存在しないため、前陣異質型として上達するのは難しいです。

(私の住む地域では県大会で探してやっと一人、きちんと指導を受けたであろう前陣異質型を発見しました。やはり、クラブ出身のようです。)

 

10年以上卓球をしている私の友人たちとも時折こういう話をしますが、認識はほぼ共通しています。私も含め、「自身の選択でなる分には良いが、前陣異質型の押し付けは肯定できない」という考えです。その理由として一致を見ているのは、将来卓球を続けたいと思った時他の戦型への移行が難しくなるというのと、上手くなるのが難しいからです。

中学生でも三年生になる頃には同じ地域の攻撃型が育ってきて、前陣異質を淘汰しにかかります。一年生の頃には返球しているだけで得点できた球が、相手のチャンスボールとなります。そうなってくると、勝つには技術力と工夫が必要になります。その技術と工夫を学ぶ機会が得難いのが問題です。

結局は出来ることが多く物理的に安定もしている裏ソフトこそが、最も可能性を秘めた選択肢なのです。

 

 

 (最終更新日:2017/5/6)

 

(Part2へつづきます)