卓球をやっている方ならご存じであろう、手のひらで台に触れるアレです。
この動作の理由としてよく言われるのが「汗を拭いている」というものですが、かねてから私はそれが本質ではないと思っていました。
もとより私は汗を拭くためにこの動作をしたことがなかったので、余計に気になりました。
随分前に考えたことですが私の考えと、これも半年ほど前に友人と話して気付いたことについて書いていきます。
まず、手を拭くことを目的とするならユニフォームで拭く選手がいてもいいはずです。
汗で濡れているから拭けないんだという主張も目にしますが、プロの試合であれば1セットごとに着替えることも可能ですし、空調が効いている会場は多いためトップ選手が汗だくになっているのはあまり目にしません。よって説得力に欠けます。
さらに六点ごとにタオルでも拭けるわけですし、1点ごとの手汗もある程度ラケットのグリップが吸ってくれます。
そもそも激しく動くとは言え手汗が少ない選手もいるはずで、トップ選手のほとんどがこの動作をすることの説明にはなりません。
このようなことを考え、「では台で手を拭かない選手はいないのか」と探してみました。
いました。
我らがチョッパーの神様、朱世赫選手です。
彼の映像は大量に観てきましたが、私が記憶する限りでは彼が台で手を拭く動作をしたことはありません。
私がしないのはそれほど手汗が気にならないというのもありますが、なにより憧れている選手がしていないからだと気付きました。
つまるところ、台で手を拭くことを始める理由の多くが、誰かの真似なのだと考えています。
最初は真似していたものが慣習化し、無意識で行われるようになったのがあの動作だと思うのです。
ある友人にこの考えを話すと、確かにそうだねと同意してくれました。彼は台を触る人で、時々利き手でない手で台に触れることさえあります。それはルーティーン以外の何物でもないねと笑って盛り上がりました。
たとえ汗を拭く目的でなくても、あの動作をすることで精神の安定が図れるのなら良いのでしょう。
(おわり)