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卓球と初心者指導(仮)

中学校の卓球部における指導について、主に考えていきます。

中学校での戦型の決定 Part4 ~戦型変更の実例~

前陣異質型 中学生

先日中学校の練習にて、戦型を変更した子(Aさんとします)と少しお喋りしました。

そのことについて書こうと思います。

 

 

Aさんは中学校に入って卓球を始め、最初はシェイク/フォア裏ソフト/バック粒高というスタイルでした。

一年経った頃、中ペン/フォア粒高/バック裏ソフトに変更しました。

この変更が先生始動のものであったということは知っていましたが、Aさんと練習する回数自体が少なかったため、そのことについて話したことはありませんでした。

 

「中学校での戦型の決定 Part2」で触れましたが、前陣異質の子にフォアドライブの練習をしてもらう中でハッとさせられ、Aさん自身がどう思っているのか聞いておきたいなと思っていました。

 

 

                      

どちらの戦型が楽しいか/好きか

                      

Aさんに、「シェイクの頃と今と、どっちが楽しい?」と尋ねてみました。

するとすぐには決めかねるようで悩んでいましたので、どちらが好きかと質問を変えました。

これについてもどちらかが嫌いと言うことではないようでしたが、「一番気持ちいいのはシェイクでフォアドライブをしてる時」とのことでした。

そうだよなぁと思いながらもう少し戦型の変更について聞いてみます。

 

変更についてAさんがどう思うか先生は聞いてくれたかと尋ねると、諦めた様な、寂しそうな笑顔で首を横に振りました。

Aさん曰く、何も相談はなくある日突然先生からペン粒にするようにと言われ、自分からいやとは言い出せないような言い方だったそうです。

 

残念ながら私にとっては予想通りでした。というのもその先生は普段から、生徒の意見を自ずから求めるような人ではないからです。

 

うーん…と唸っていると今度はAさんの方から、実は部活外で友達と打つ時はシェイクで打っていると教えてくれました。

 

なんと言いましょうか、いたたまれないというか、寂しい話ですね…。

先生は恐らくこの事実を知らないでしょうし、Aさんから言うこともないのでしょう。

私は「外で打つ時はそれで楽しくやるのがいいよ」とその件を肯定してお喋りを終えました。

 

 

                      

 指導者として

                      

Aさんの戦型変更についてAさんと話す以前に、先生にも聞いてみました。

先生によれば、「Aさんは無茶打ちをしがちであのままでは部内に居場所がない(≒部内での役割が無い、という意だと思われます)から変更させた」とのことでした。

 

確かにシェイクの頃のAさんには打ち急ぐ傾向があり、攻撃をミスしての敗戦が多いようでした。そこで先生は、打つことが出来ない戦型に変更させることで状況を打開しようとしたのでしょう。

結果を表面的に見れば、確かに粒高を利用してラリーは長くなり、ダブルスの一員として役割を果たしているようです。先生は戦型変更が成功したとお思いの事でしょう。

 

しかし先述のように、この変更には「本人の気持ち」という重要な要素が欠落しています。きちんとやり取りをして本人が納得した上での変更なら僕も賛成しますが、それなしにはどんな結果が出ようが喜べません。

 

さらに言えばこの変更は、当時のAさんの状態を否定しての変更です。

「打っても入らないのだから打つな」という変更で、教育の中で選択されるべきではないと思いますし、残念ながら非常に短絡的な変更理由だと思います。

指導者の役割としては、打ちに行こうとする気持ちを受け入れ、その成功率が上がるよう工夫するのが第一ではないでしょうか。

特に中学始めの女の子で、積極的に攻撃しに行けること自体才能と言ってもいいと思います。そう考えれば打ち急ぐことは長所と捉えられます。 

成功率さえ引き上げれば、強力な武器になるのです。(これは高島規郎氏の受け売りでもあるのですが^^;)

 

先日の練習の休み時間にAさんに声をかけ、私のカットを裏ソフトでドライブしてもらいました。

先述のような用具変更をしたため、ペンのフォアドライブでカットを打ったことは一度もありません。ところがシェイク時代に得た回転をかける感覚が残っていて、攻撃型の子と遜色ないドライブが返ってきました。

シェイクの頃から無茶打ち多めとはいえ感覚はあると思っていて、かなり打てるだろうと予想していましたが、睨んだ通りだなといったところです。

 

これだけの感覚を活かさずに奪ってしまった責任は大きいです。

私なら、ドライブに技術的なケアを入れるか無茶打ちしたくなる精神的な部分に切り込むかして、シェイクとして上達できるように指導したと思います。

 

大人が予想するより遥かに速いスピードで、中学生は技術的にも精神的にも進歩します。

無茶打ちに見えても上手く軌道に乗せることができれば、一か月後には驚異的な攻撃に変わっていたかもしれません。

もしくは普段の生活を通じて成長しながら精神的な落ち着きを獲得し、やはり一か月後には球を選んで打てるようになっていたかもしれません。

 

 

                      

フォア裏ソフト

                      

別の記事でも似たようなことを書きましたが、個人的には卓球の世界の大半はドライブによって構成されていると思っていて、卓球を初めて2,3年はフォアに裏ソフトを貼っておくのが一番取り返しの効く選択であると考えています。

今後の人生で卓球を趣味にする人が出てくる可能性を考えても、中学のうちは出来る限りフォア裏ソフトで育てるべきと考えます。

これはあくまで用具の話で、ドライブ主戦でもカット型でも良いと思っています。重要なことは、フォアハンドでドライブが出来る状態にあることです。

例外として、本人がフォア表/フォア粒を強く希望する場合、フォア表やフォア粒を技術的に指導できる人がいる場合、身体的な理由でフォア裏ソフトが困難な場合がありますが、そうでなければフォア裏ソフトが優先されるべきです。

 

 

ここまで読んで下さりありがとうございました。

お読みになって、皆さんはどう思われたでしょうか。

 

部活動における卓球で、Aさんのように我慢をする子が減るのを願うばかりです。

 

 (おわり)