卓球と初心者指導(仮)

中学校の卓球部における指導について、主に考えていきます。

初めてのラケット ~中学女子編~

中学校で卓球を始める女子が最初に使うラケットを考えます。”最初”と言いましても、大抵のレベルにおいて中学三年まで使い続けられる性能があるものばかりです。

 

ただし、戦型がシェークのドライブ主戦型/異質攻撃型と決定した後に選ぶものです。

カット型やペンホルダーについては掲載しておりません。

 

目次

 

 

Ⅰ 候補に挙げる基準

1.ラケットの素材

木材の5枚合板と7枚合板に限定します。この理由は、多くの木材ラケットに以下のような特徴があるからです。

  • 弾みが強すぎない(=飛距離が出過ぎない)
  • 弾きが強すぎない(=球離れが早過ぎない)
  • 価格が特殊素材入りに比べて低い
  • 打った感触が手に伝わりやすい

卓球においては回転という要素が大きなウエイトを占めます。球離れが早過ぎない多くの木材合板ラケットは、回転をかける技術の習得に向いています。

 

2.弾み

Nittakuの基準で言うミッドスローからミッドファースト程度の弾みを中心に挙げます。

他のメーカーもNittaku基準に引きつけて書いていきます。

技術を磨いていくうちに弾みが足りないと感じたら、ラバーの厚さを増すかラバーを変更して対応します。

 

3.重さ

今回は75~85gの木材合板のラケットに限定します。これらに、そこそこ弾む高弾性ラバーあるいはテンションラバーの中~厚を貼って始めるのが良いと思います。(ものによっては中厚という厚さも販売されています。)

 

4.価格

割引後の価格で1万円を切るものに限定します。(web上の卓球用具専門店では2~3割引きが常です。実店舗に比べるとかなり価格が抑えられています。)

ラバーでは性能と価格がおよそ比例している感じがありますが、ラケットに関しては低価格であっても圧倒的な性能のものが多く存在します。

 

Ⅱ ラケットを選ぶにあたって

初心者向けを謳うオールラウンド用ラケットは避けて考えます。

ラケットそのものの弾みが小さすぎると身体に無理な力が入ったり、スイングの形が崩れる可能性があるためです

ラケットを替えると打球感・弾み・重さが全て変わってしまうため、中学の三年間はラケットの種類を替えない方が良いと考えます。となると、初めから打球感の良いそこそこの弾みのラケットを購入し、コントロールのしやすい(=そこそこ回転がかかり、弾みが強すぎない)ラバーを貼って使うのが良いという結論に達します。

そのような用具で練習していき、自分の力にラバーが負ける感じがするようになったら、ラバーの厚さを増すかラバーを変更して対応します。ラバーの厚さを厚くできない、あるいは他のラバーには替えられない段階に来たらラケットの変更を考えます。(特厚にすると重くなりすぎるとか、これ以上弾むラバーは価格が高すぎるなど)

 

今回挙げるラケットたちは、ある程度性質が似通っていると思います。

さらに数も多いので、この中からさらに選ぶための基準を重要と思う順に挙げます。

  1. 打球感(ソフトが好きかハードが好きか)
  2. グリップサイズ
  3. 重さ
  4. グリップデザイン

 

打球感とグリップサイズはラケットそのものの性質がもろに影響するので、特にこの2点を大切にして選ぶのが良いです。

打球感はある程度ラバーで調整できますが、厚以上の厚さでないと調整は困難です。最初の内は中や中厚を貼る可能性があることを考えると、ラケットそのものの打球感は大切です。(中国選手がラケットを選ぶ際に最も重要視するのは打球感だそうです。)

ソフトは打った感じが手に響きにくくサラサラした感じ、ハードは打った際の振動が手に伝わる感じが強くボンボンという感じがします。ここは個々の好みで選ぶべきなのですが、初めてラケットを握る子なら気にならないでしょう。そうなると他の要素で選ぶのが良いのかな…。

グリップサイズについては、手が小さい子であれば細めのグリップを選ぶのが良いでしょう。現物を握ってもらって確認するのが理想的ですが、それができずとも先輩のラケットを数本握ってもらえば好みの太さを推定できます。

デザインは性能には関係ありませんが、近い性能であれば気に入ったデザインの方が気持ちを盛り上げてくれるので良いと思います。

 

バタフライ以外は定価を載せておりますので、そこから3割引の価格で買うことができます。

 

Ⅲ 5枚合板

[Butterfly]

近年高級路線をひた走っており、特殊素材ラケットが多いこともあって中学女子には不向きになっています。しかしラケット及びラバーの性能は一流と言われます。

反発特性は数値が大きいほど弾み、11.9~11がミッドファースト、10.9~9.0がミッド、8.9~8.0がミッドスローといったところでしょう。

振動特性は数値が大きいほど手に響きにくいということです。 

①メイスパフォーマンス 71g

弾みミッド~ミッドファースト 打球感ソフト

web専門店価格で5000円弱

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軽くて使いやすく、威力も十分。メイス選手のパフォーマンスを思わせるような独創的かつ攻撃的なオールラウンドプレーに最適です。

圧倒的な軽さが目を引きますが、製造の時期によって平均重量が大きく異なります。

そこそこの弾み、ソフトな打球感。

 

②ハッドロウVK 82g

弾みミッド~ミッドファースト 打球感ミドル

web専門店価格で9000円弱

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 オールラウンドプレーヤーにお勧めする5枚合板ラケットです。木材のラケットの伝統ともいえるバランスの良い合板構成で、安定したドライブを打ちやすいのが特長です。

Vは5枚合板の5、Kはコルベルのような扱いやすさを表すとのこと。

ブレード構成はコルベルスピードと同じらしいです。私の知人にとっても強いバック表の選手が二人いまして、二人ともコルベルスピードを使っていました。となるとバック表の選手に良いのかな…?コルベルスピードの平均重量は90gでしたから、少し軽くなっているようです。

メイスパフォーマンスと比べると、弾みは近く打球感はこちらの方がハードのようです。手に響きます。

 

[Nittaku]

木材合板の選択肢が非常に多く、良心的な価格設定です。性能的にも中学女子が使いやすいであろうラケットが多くみられます。

 

①ラティカライト 78g

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5枚合板をベースとしたコントロール性能の高いラケット。
レベルアップを目指す選手、バランスのとれた攻守を重視する選手にオススメです。

オールマイティで、コンパクトなブレードやグリップはキッズ・レディースにオススメです。 

ラティカ≒コルベル、ラティカライトはコルベルを小型化したようなものとのこと。ブレードが小さいことによりラバーを貼る面積が小さくなり、総重量はより軽くなります。

ハッドロウSKよりもブレードが少し小さく、重さも軽くなっています。お値段も安いので、「弾みミッド、打球感ミドル」 の5枚合板を買うならコレかなと思います。軽いというのも女子中学生には嬉しい。

 

②フォレスティア 78g

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表面に木曽桧を使用した日本製の5枚合板。

軽めで扱いやすさを重視しました。

ステップアップに適しているラケットとして、台上・ツッツキ・ドライブなど、様々な技術を覚える時期にピッタリな一本です。    

単板の日本式ペンに用いられることが多いことから想像するに、ヒノキは軽くて弾むのでしょうね。打球感もあの、サラサラとした感じに近いでしょうか。

エラが少し細目なので重心が先端よりになっています。

グリップに緑色が配されており、緑好きな子には良さそうです。78gと軽めなのもgood!

 

 ③ジェンティ 80g

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スピード性能を重視した高弾性+軽量コンパクトブレード。

ミッドでハードというラケットは、ニッタクでは他にあまりないようです。

不思議な安さを誇りますが性能には関係ないので、スピード・打球感とグリップデザインが気に入ればお買い得でしょう。重さは標準的。

 

④エボーシャル5 80g

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テンポの速い連続攻撃!弾みの良いスマッシュ攻撃!
重量抑えめで振り切りやすく、軽快な打球感を楽しむ5枚合板。

ニッタクのカタログによれば、攻撃用ラケットの中ではビギナー向けとのこと。

不思議なデザインですが、気にいる子がいればいいかなと。寒色系が好きな女の子に。

ウッドエッジガードが施されており、台にぶつけた時に衝撃が緩和されるのと、メーカー曰くスイートスポットが広がる効果があるそうです。

 

佳純ベーシック 85g

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5枚合板をベースとしたコントロール性能の高いラケットに仕上げました。
レベルアップを目指す選手、バランスのとれた攻守を重視する選手にオススメです。

こちらもコルベルの小型化バージョン。ラティカライトより少しブレードが大きいです。女子中学生に使用者を多く見かけます。

 

ニッタクラケット性能相対表

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[TSP]

近年スワットシリーズでラケット市場を席巻しました。ラケット・ラバーともに比較的安価なメーカーです。 

①スワット5PW 80g

弾みミッドスロー~ミッド

¥5600+税

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自分の意思でボールをコントロールするオールラウドなプレーに最適。

グリップを少し細めにすることにより、レディースやジュニア選手もしっかり握ることができます。 

 TSPの弾みの基準はファースト+、ファースト、ミッド、スローなので、

それぞれニッタクのファースト、ミッドファースト、ミッド、ミッドスローに相当すると思われます。

 

②ウォルナットウッド 80g

弾みミッドファースト

¥6800+税

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手に伝わる打球感の心地良さと適度な弾みで、非常にコントロールがしやすく安心して使える。見た目もきれいで手に取ってみたい1本。

柔らかめ、そこそこの弾み、80gと重すぎない。女子中学生には良さそうですね。

デザインについても、メーカーの言う通り品のある可愛らしさを感じます。ピンクが好きな子ならコレでしょうか。個人的には気になる1本です。

メーカーカタログによれば、スワット(7枚合板)と近いラケットのようです。同程度の弾みで、打球感はこちらの方がやや柔らかいとのこと。

 

(2017/6/4追記)

実際に購入して使ってみましたが、思っていたより遥かに打球感が硬く飛び出しが早いです。上板が胡桃だからでしょう。中学始めの女子が使う際にはラバーに気を遣わないと難しいと思います。もし使うなら、柔らかいラバーあるいは球持ちの良いラバーと合わせるべきです。ヴェガエリートかヴェガヨーロッパがよろしいでしょう。

これを使うならスワットにヴェガエリートでいいんじゃないかなと思います。もし気になる点あればご質問ください。

 

[Yasaka]

ヤサカと言えば、高弾性の王様マークV。近年ではラクザシリーズも人気を博しています。ラケットデザインは男性好みの渋いものが多いです。

 ①馬琳エキストラオフェンシブ 85g

弾みミッド 打球感ミドル

¥9000+税

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ややハードな5枚の北欧材を使用し、攻守のバランスに優れているのが最大の特徴です。馬琳の強烈なパワー攻撃、細かい技術をフルサポート。

 2008年に世界を制したラケットです。(実際には特注だった可能性が高いですが。)

Yasakaカタログの打球感はソフト・ややハード・ハードの三段階に分けられているので、「ややハード」は他社で言うミドルに当たると思われます。

スワット5PWをちょっと柔らかくして値段を上げた、といったところでしょうか。

個人的にはグリップデザインが渋くて好きですが、女子中学生が気に入るかは分かりません…。

  

Ⅳ 7枚合板

 [Butterfly]

①ハッドロウSK 83g 

ミッド ミドル

web専門店価格で9000円弱

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多彩な技術を可能にする7枚合板ラケット。

回転量の多いドライブや安定感のあるプレーを求める選手にお勧めで、前陣から中陣での攻守に威力を発揮します。

SKタクティスと同じ合板構成とのこと。

SKタクティスはあの名品SK7の改良版で、形状を変えることにより弾みを落とさず軽量化とスイートスポットの拡大を実現したものです。

つまりSK7から乗り換えるならコレが近いのかなと思います。SK7は復刻モデルが発売になりました。)

一応載せましたが、初めてのラケットとしてコレを使うなら後述のスワットで良いと思います。

 

 [Nittaku]

①セプティアー 85g

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台上・角度打ち・ドライブと様々なバリエーションの打法をマスターする段階で使いたい一本。7枚合板の威力を備えながら平均的な重量で、扱いやすく中陣からの連打も可能にします。攻守のバランスを重視する選手にオススメです。

ヒノキだけの7枚合板と言うことで、他の7枚合板にはない打球感と思われます。板が厚めなのが気になるところではあります。

 

②エボーシャル5 85g

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連続したドライブ攻撃!回転をかけやすい、しなり。
安定した弾みとやわらかい打球感で、ラリーを楽しむ7枚合板。

謳い文句を見ると男子向けのように思えますが、重量と弾みが条件を満たすので上げておきます。これもイロモノグリップですね。

 

③ルデアック 85g

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相手の強打に打ち負けない、威力がある7枚合板。
ラバー自体の良さを引き出す、心強いラケットです。

後述のアーレスト7(Yasaka)と似ています。

ルデアックの強みはハードタイプのルデアックパワー、特殊素材入りのルデアックフリートと兄弟ラケットが存在することでしょう。男子中学生であれば、高校に入る辺りでラケットを変えたくなった時に迷わずに済むかもしれません。

女子であれば重量の関係上それらに乗り換えることは考えにくいので、価格の低いアーレスト7の方がよろしいでしょう。

 

[TSP]

①スワット 85g

ミッドファースト ミドル~ハード

¥5200+税

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木材の打球感を最大限に生かし、広いスイートスポットが特徴。操作性が高く、幅広いスタイルにマッチする高性能な7枚合板。

他の追随を許さない、圧倒的なコストパフォーマンス。初心者でも扱いやすい穏やかな側面を持ちながら全日本社会人で優勝を経験するなど、まさに幅広いスタイルにマッチします。この性能のラケットを3割引きなら4000円前後で購入できるというのは驚く他ありません。

7枚合板としては軽量であることに加えて7枚合板にしては弾みが大人しいため、初心者でも扱いやすいと言えます。ライズやマークV,ヴェガエリート/ヨーロッパあたりを合わせれば初心者でも十分に扱えます。

グリップはウォルナットウッドより少し太めかと思います。

下記のwebサイトの月ごとの集計を見ると、スワットの売り上げは2016年の全月で1位です。

卓球王国WEB | 卓球用具>卓球用具売上ランキング

 

 

[Yasaka]

①アーレスト7 85g

ミッド ミドル

¥4600+税

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反発力と硬さをやや抑え、7枚合板ながらも使いやすさにもこだわったラケットです。攻撃重視のスタイルを目指す初級者からバランス重視の攻撃プレイヤーまで幅広く対応します。 

 これは…スワットへの対抗馬なのでしょうか…?

スワットのお値段を下げて弾みをほんの少し抑えたように思われます。

 

[STIGA]

スウェーデンのメーカー、品質の高い木材ラケットで有名です。グリップデザインに高級感漂うものが多いですが、お値段も全体的に高いです。

メーカーカタログではラケット重量が分からないのは困りものです…。

①クリッパーウッド WRB ?g

ミッド ミドル

¥11000+税

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「クリッパーウッド」にWRBグリップを組み合わせ、振り抜きのよさをアップ。

WRBグリップとは中心が空洞になっているグリップですので、後述のクリッパーウッドに比べると数グラムは軽いはずです。同時に重心が先端よりになって振り切りやすくなってはいますが、手首への負荷は増えます。

 

②クリッパーウッド 85g

ミッド ハード

¥13000+税 

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弾みと打球感が心地よいベストセラーラケット。

ボールを掴む打球感がオールラウンドエボリューションに近く、更にスピードと威力が出せる。 

 STIGAの代名詞、世界を制し日本を制した7枚合板です。30代以上の方には劉国梁元選手が使用していたことで良く知られていると思います。最近では平野美宇選手が使用しアジア選手権で優勝という箔を付けました。裏裏はもちろん、表ソフトでも実績があるラケットです。

価格は高めですが、王道的な卓球を極めたい人にはとても良いと思います。

 

 

他に「これいいよ!」というものや「これは女子中学生にはちょっと…」などありましたら教えてください。

 

 

おわり

(最終更新日:2017/6/4)