知らないけれど確立している技術

先日の練習で、ある生徒(Aさん)がフリックのような打ち方を偶然しました。

今回はそのことについて書いていきます。

 

バックストレートで、サーブからカット打ちを練習している最中の事でした。

下回転サービスへの私のレシーブが少し浅くなり、ドライブするつもりで構えていたAさんは対応がやや遅れました。しかしそこから、引いていたラケットをそのまま前に出し、うまくボールを乗せながら面を少し返して返球してきました。

当然ドライブと違って回転はかかっていないので、私は落としてしまいました。

咄嗟に面で持って行けるのを見て、改めてAさんの能力の高さを感じました。

 

ところがAさんは、まるでネットインでもしたかのように謝ってきました。

この打ち方はフリックとして確立している技術そのものでしたが、Aさんはフリックを知らなかったのでしょう。

中学始めでクラブに通っていない生徒ですと、しばしばこういった状況が発生します。つまり卓球界では実用的と認められる技術なのに、たまたま出来てしまってそれを失敗の一つと思ってしまうのです。特に女子ですとそう考える人が多いようです。

 

こういうことがあったら、全体に周知させないといけないなと思います。

たまたまAさんがこういう打ち方をしたけれどこれはフリックと呼ばれる立派な技術で、短いボールに対して攻撃的に行けるメリットがあること。

また、他の人がやっているのを見ないからその打法が間違っているということはないんだということ。結局は相手のボールに対してうまく対応ができて返球できるのならその打ち方は正しいわけです。

多くの人が使っている打法は効率がいいとか簡単とか、そういう理由があってのことで他の打法が絶対的にダメということではないのだと。

 

皆さんご存知と思いますが、男子は何も言わなくても”型”から外れた打ち方に挑戦し、発見をしていきます。(これが良くない方向に作用することもありますが。)

一方女子は、知っている型に固執するというか、その型から外れるのを避ける人が多いです。「外れるのもアリ」ということは伝えておかなければいけないなと思います。

 

でないとせっかく発見をしているのに棄却されてしまいます。それではもったいない!

 

 

 

(おわり)