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卓球と初心者指導(仮)

中学校の卓球部における指導について、主に考えていきます。

カット型と言う海賊船

皆さんは、世界最強の女子カット型プレーヤーをご存じでしょうか。

今回はその選手のお話と、それを中学校の部活に絡めてのお話です。

 

その名は武楊

件の選手の名前は武楊(Wu Yang)です。

中国国家チームの女子一軍に在籍しています。世界ランキングこそHan Yingに劣るもののそれは国際大会への参加が少ないからであり、守備範囲・カットの変化・攻撃力を見るに私は武楊が最強と考えています。

 

その武楊がカット型について発言した記事があると友人から聞き、さっそく検索して見つけました。該当部分を抜粋します。

武楊は1992年1月5日生まれ、山羊座のB型。長身でカット主戦型向きの選手に見えるが、『ピンパン世界』2010年6月号に掲載されたインタビューでは、「卓球を始めた時のコーチがカットマンだったから、自分もカットマンにさせられた。こんな難しい戦型になってしまって、海賊船に乗せられて下りられないようなもの」と実に率直な感想を述べていた。

 

勝たなければいけない環境にいる彼女のこの発言は大変重く、その苦労は想像を絶します。私はカット型に憧れて転向したため辛さをしばしば感じながらも楽しんでおりますが、そうでない生徒がカット型に”させられた”場合どうでしょうか。

 

中学校でのカット型

 

私はこれまでに何度か、前陣異質型に関して否定的なことを書いてきました。それらは選手本人の良し悪しとは関係なく、もちろん優れた点はありながらも、戦型そのものが様々な面で弱点を抱えているということでした。

私は、カット型も似たようなものと思っています。感覚の習得/技術の熟練に長い時間を要し、必要な技術の幅は広く、身体の動きは独特で、表や粒高の扱いにも慣れる必要がある…。「カット型になりたい!」と言ってくれる生徒がいたらそれは嬉しいですが、そうでなければわざわざカット型になって欲しいとは思いません。こんな大変な戦型を、おいそれと生徒にやらせるべきではないのです。本人が希望する場合に限って支援すべきです。

本記事冒頭に引用した、武楊選手の言葉は重いです。国を背負う立場ならまだしも、中学校の部活でこういう思いをさせてはいけないと思います。部内で前陣異質型やカット型を用意すべきというのも至極当然ですが、その際にはできるだけ生徒の希望を尊重していただきたいです。

 

現在、我が校の三年生にはカット型が二人いますが、まさに武楊選手と同じような状況になっています。私が戦型を押し付けたわけではないですが、私が外部コーチとしていることが先生の采配を後押ししたことは間違いないと思うからです。文脈は違いますが、「卓球を始めた時のコーチがカットマンだったから、自分もカットマンにさせられた。」という表現は当てはまります。

「カット型になって良かった」と言って貰えたならそれほど嬉しいことはないですが、怖くて私から聞くことはできません。巧いことダマシダマシ卓球の楽しさを伝えているつもりですし、明らかにカット型として上達はしています。私がカット型に転向してから二年の時点と比べると、彼らの方がカット型として明らかに優れています。とはいえやはりカットは難しいし、ちょっと上手な人にはガンガン撃ち込まれてしまうなど辛い部分が多く、「カットが楽しい!」というステージには到達できないかもしれません。カットに憧れて始めたなら話は違うのですけれどね…。

 

新一年生がそろそろ入部してきます。今年度の新入部員はどうやら半数以上が経験者のようですが、転入生を含めた未経験者のために戦型の話をしないといけません。その同日に、各戦型の世界トップレベルの試合映像を渡すつもりです。本人たちの希望を優先するために、まずはイメージを持ってもらいます。

後悔や我慢の無いよう。

 

 

(おわり)

(最終更新日'17/5/21)