大型連休2017② ~ベンチワーク編 その2~

ベンチワークにおける「これだったら黙っていた方がまだマシ」という発言を挙げ、それを然るべき形へチェンジあるいはいけない理由を述べていきます。

今までに私が直接見聞きした発言を取り上げます。

 

「スマイルをメイクすることで、マイナスからプラスへ!」

 

○お前がセットを落とすような相手じゃない。/お前が負けるような相手じゃない。

失点しようが2セット落とそうが、最終的に先に3セットを取ればそれでいいのです。このような発言をすることで要らぬプレッシャーがかかりますし、いざ競った時に気持ちが崩れます。ハナから競るものと選手もベンチも覚悟したうえで、どうやって3セット分得点するかを一緒に考えていくべきです。

相手だって必死で作戦チェンジをし、得点しようとしてきます。上記のような発言は選手を苦しめ相手を侮辱するものです。

 

↓マイナスからプラスへ↓

  • たとえ得点やセット数でリードしても、どうせ競るんだと思ってやっていこう
  • 相手も上手くなっているはずだし、作戦チェンジもしてくる。今はこのパターンが効いているから次のセットでもこれを使っていきたいけれど、「これではいけない」と思ったらこちらもどんどんチェンジしていこう。

 

 

○たるんでるからこんな試合になるんだ/ちゃんとやれ

負けたくてやっている選手はいません。本当にたるんでいるように見えるなら、見る者の目がおかしいか、何か選手の中に異変があるかです。どうしてそうなってしまっているかを考えて、ベンチでは発言しないといけません。

 

 

○ああしろ、こうしろと強く断定する

選手はチェスの駒ではありません。選手をサポートするのがベンチの役割であり、ベンチは司令官ではありません。戦況の変化を想定しない強い断定は、効かなくなり失点するようになったパターンを使い続けることに繋がる危険を伴います。

 

↓マイナスからプラスへ↓

  •  今はこれが効いているから、次のセットでもどんどん使って行こう。相手も対応してくるはずだから、返ってくると思って待つようにしよう。

 

○打って行け

「打って行け」というのは、ツッツキを多用するようになった選手に対して掛けられがちです。しかしこの言葉だけでは、不安な気持ちに拍車がかかるだけです。「ミスが多い、でもああ言われたし打っていかなきゃいけない…」と焦りを生むことになり、ベンチが選手を追い込むことになる、最悪のケースです。ツッツキの多用を避けなければいけない場合、具体的にどう打っていくかを伝えます。こうすることで意識は打つことではなく身体の使い方に向くため、プレッシャーをかけずに済みます。

 

↓マイナスからプラスへ↓

  • やはり一番の君の武器はフォアハンドだから、まずは先に打って行く数を増やしていこう。相手が嫌がっているサーブを出して、三球目あるいは五球目で仕掛ける。打つと決めたら思い切って打つこと、足でグッと踏ん張ることの二つを意識してやってみよう。

 

○打つな

「打つな」については方針そのものが、大抵の場合に不適切と思います。攻撃型であれば、打つのをやめて状況が好転するのは一年生の内だけです。それを除けば、攻撃型が打つのを控えることは最大の武器を捨てることを意味します。

ベンチワーク編その1で紹介したように、打って行けば少しずつ入るようになっていきます。調子を上げていくには、思い切って打って行く数を増やす以外にありません。もちろん無理な球は繋ぐべきですが、不調によるミスが多いからと言って打つのをやめても戦況は好転しません。さらに言えば、打って行く中で調子を上げていく経験をさせないと、いつまでたっても試合で打てない攻撃型のままになりかねません。まずは緊張や不安を乗り越えて”打ちに行くこと”に慣れることが大切です。

 

 

○あれがだめこれがだめ

試合中はいいところ、うまくいっていることだけを伝えるべきです。生活指導モドキのようなものを、競技中に持ち込まないでいただきたいです。

技術的な反省についても試合の全日程が終わってから指摘します。試合が残っている状態で指摘すると、試合内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(おわり)