”比較的広い層”にとって使いやすい用具

ネット上では、「●●と○○は相性がいい」という意見や「○○に合うラバーを教えてください」という質問が散見されます。しかしながらここには、打法との相性や個人の打球感覚・好みといった肝心な情報が含まれていません。このような意見や質問を見るたびに、唸っておりました。ところが最近、広い層にとって使いやすくなる組み合わせが確かにあることを実感しています。

今回は使いやすい用具に関する私の考えと、最近私が試した組み合わせをまとめようと思います。また、この作業の中で見えてきた”女子中学生に向く用具”についても触れます。

 

使いやすい用具

ここでの使いやすいとは、

任意の技術を使う際に大きな難がなく、全体として優等生的な性能を持つ用具

と定義します。

この定義の元で、比較的広い層が使いやすいと感じたのは以下の組み合わせです。

  • 弾くラケット+球持ちのいいラバー
  • 球持ちのいいラケット+シートもスポンジも硬いラバー

至極当たり前な話ですけれど、実体験をもって理解したので人様にお伝えできると思いました。

 

私が試した組み合わせ

(ラケット名)+(フォア面ラバー)+(バック面ラバー)。

私がこの中で使いやすいと思ったのは太字のものです。

  1. SK7クラシック+ヴェガヨーロッパ厚+ブースターSA中
  2. スワット+ラクザ7厚+ラクザ7中厚
  3. ウォルナットウッド+ファスタークG1厚+ファスタークC1厚
  4. ウォルナットウッド+ラクザ7厚+ラクザ7中厚
  5. ラティカライト+フライアット中+ヴェガエリート中
  6. ラティカ+ファスタークG1厚+ファスタークC1厚

普段はカット用ラケットにラクザ等のスポンジ硬度が47.5°前後の、シートの引っ掛かりがいいものを好んで使用しています。ですから6が使いやすいのは納得できるところですが、2がダメだったのは自分でも意外でした。

以下、一つ一つ感想のようなモノをまとめておこうとおもいます。

 
1.SK7クラシック+ヴェガヨーロッパ厚+ブースターSA中

かなり弾みの強いラケットに、柔らかく食い込みの良いヴェガヨーロ。SK7は硬いラケットと聞いていましたがラバーに緩和されたためかちょうど良い硬さに感じました。これが柔らかめのラケットだとヴェガヨーロッパの柔らかさに辟易することになったかもしれません。卓球スクールのコーチが選んだ組み合わせで、さすがの使いやすさと言ったところです。ただしスイングの力を抜かないといいボールが出ないと感じました。思い切り踏み込むためのラバーではないな、と。

後述しますが、多くの女子中学生にはこの組み合わせのように、硬めのラケット+柔らかいラバーがよさそうです。

 
2.スワット+ラクザ7厚+ラクザ7中厚

球持ちが良いラケットに球持ちの良いラバーを合わせた結果、ドライブをする際にボールがなかなか飛び出してくれない用具になってしまいました。ずぅーっとラバー表面に吸着しているような感じで、上手くコントロールできませんでした。過ぎたれば及ばざるが如し、と。

ただし私のスワットは91.5gという個体で、このことが影響しておかしなことになっていた可能性が高いです。5gも重さが違えばもう別の種類のラケットと言って良いくらいに、打球感や球持ち・弾みは違います。スワットというよりアルテロの性能に近いかも??

通常のスワットも、ブライスみたいな前に飛ぶラバーと相性がいいのかも。中学生ならヴェガエリート、ヴェガヨーロッパ、ヴェガアジアあたり。

 

3.ウォルナットウッド+ファスタークG1厚+ファスタークC1厚

上板が硬く弾きの良いラケットにシートもスポンジも硬いラバーを合わせた結果、全く球を持ってくれない用具に。回転をかけるのが難しく、噂に聞いていたファスタークのシートの良さを全く感じられませんでした。擦り打ち派の私が擦ってなお、ただただ飛んでいく…。こんな硬い(弾きの強い)用具は扱えないと強く感じました。

 

4.ウォルナットウッド+ラクザ7厚+ラクザ7中厚

シートにグッと食い込んで回転がかかった後にラケットがボールを送り出す感じがあり、イメージに近い回転と飛距離で打球することができました。ラクザ7が硬めのラケットと組み合わせて、食い込ませるドライブを連発するタイプに向いていることを実感しました。なるほど男性に使用者が多いわけだ。特殊素材にも合いそう。

今回上げた中ではこれがベストです。

 

5.ラティカライト+フライアット中+ヴェガヨーロッパ中

自分用と言うより、中学始めの生徒が使いそうな用具を触ってみようということで購入。後述のラティカのブレードとグリップをサイズダウンしたもので合板構成は同じはずですが、ラバーのエネルギー不足かあるいは146.5gという軽さゆえか、用具が力負けするのを感じました。 ラバーがベコッとへこむ感じです。軽打した際にはイメージと近い弾みで飛んだので、コントロールの良さは確かだと思います。初心者が使うには確かに良さそう。

そうは言っても中学生には軽すぎて、中学三年生の夏まで使い続けることは難しいと思います。また、ブレードの小ささゆえに不安定になる技術があり、攻撃の威力が出しにくいという弱点がありますので、これを使うなら佳純ベーシックかラティカ。小学校低学年の女の子には良さそうです。

 

6.ラティカ+ファスタークG1厚+ファスタークC1厚

今回挙げた6つの中で、私にとってはベストの組み合わせです。ラケットが柔らかいことが作用しているのか、ファスタークのシートの強さ・引っ掛かりの良さを感じられます。ウォルナットと合わせた時に感じたガチガチな硬さは影を潜め、好ましい硬さに。

普段の用具がカット用ラケット(柔らかく球持ちが良い)で、そこにラクザだのオメガVだの合わせたものを好んできたことを考えると、この組み合わせを良しと感じるのも頷けます。

ただしウォルナット+ラクザと比べるとファスタークのシートの硬さ故、しっかり振らないとボールが飛んでいかない・棒球になると感じました。対ペン粒なら時間的な余裕が合って十分な体制で打てるのでより良い球が出ますが、対カットや対ツッツキのように球速がある下回転に対してはラクザの方がラクだと感じました。そもそもラバーのコンセプトがそういうことなので当然ですけれど…。ラクザ7は体勢が崩れて手打ちになってもシートに食い込んで回転がかかりるので、私を試合で助けてくれるのは7です。

このことから言えるのは、ラケットの球持ち/弾きをラバーで逆転させることがあるということです。ラバーとラケットで互いに足りない性能を補うように組み合わせると、広い層にとって扱いやすい用具になるはずです。

 

 

女子中学生に向くのは…

一般的な女子中学生のインパクトの強さですと、シートは柔らかめのものが良さそうです。軽打でも食い込むので回転をかける感覚が掴みやすいためです。スポンジも最初は柔らかいもので、高校生になったら自分の打ち方やプレースタイルと相談し、シートかスポンジを硬めのものへ替えるのが良いと思います。

柔らかいラバーを使用するとは言え、中学始めで基礎技術を磨く段階では穏やかな弾みのラケットが良いでしょう。佳純ベーシック、オールラウンドエボリューション、スワットあたり。この三本の中でオルエボだけは打球感が硬くやや弾きが強いです。きちんと指導できる人間がいない場合は避けた方が良いと思います。

基礎技術が一通り身に付いた”攻撃型”ですと、合わせるのはある程度弾いてくれるラケットがよろしいでしょう。これにシートが柔らかめのラバーを合わせれば、女子中学生の力でも食い込ませて回転をかけることができ、ラケットがそれを押し出してくれます。ミートした時にはラケットが弾いてくれます。下回転を持ち上げてから前陣でミートを多用することを考えると、この組み合わせは理に適っています。

 

とりあえず、ここまでにします。追記があるかもしれません。

(おわり)