卓球と初心者指導(仮)

中学校の卓球部における指導について、主に考えていきます。

県総体を終えて 2017

二日間に渡る県総体が本日終わりました。
今回は県総体そのものと、その他いろいろ思うところについて書きます。

 


試合内容

[団体戦]

1回戦は3-0で勝利。県大会だけあって相手も簡単にミスをせず、フルセットにもつれ込む試合もありました。疲労と緊張があると思われる中、ブレずに自分の出来ることをやれたのだと思います。
2回戦は0-3で敗北。1本目右S裏裏、2本目右S裏粒に我が校の右C裏裏、右S裏裏が0-3でやられてしまい、ダブルスはフルセットに持ち込んだものの及びませんでした。相手校は小学校から少年団でプレーしてきた選手が揃っており、いかんともし難い差があったと思います。特に試合での雰囲気、気迫が他校とは違いました。中学始めの選手なら気圧されてもおかしくない中、気持ちを切らさずやれたのが立派でした。


[個人戦]

○カットのAさん(3年生)
1回戦の相手は右S裏裏、正統派の攻撃型です。柔らかいタッチで、切ったツッツキもナックルツッツキも持ち上げてきます。前に振っていないためにドライブが少しだけゆっくり飛んでくるので中盤まではカットがネットを越えないことが多かったですが、「少しだけ体重を移してカットを飛ばそう」というアドバイスが効いたのか、はたまた本人の高い修正能力か、終盤ではカットが安定して入りだしました。そうなれば我慢比べに持ち込むことができ、カットに対して相手の打ち損じが出たり、カットからのツッツキでコースや回転に変化をつけて得点を重ねました。
2セット目までは相手が攻め急いだことによる得点が多くスッとセットを取りましたが、3,4セットでは相手が無理せず繋ぎ始めて上記のようなカットでの失点が増えました。また、そういう繋ぎボールと組み合わせて、フォアミドルに上ロングから三球目強打のパターンも仕掛けられ2セットを奪取されます。
最終セット3-5でコートチェンジし相手サービス、私は顔面蒼白の心持ちでした。(というのも私がベンチに入っておきながらまくられて一回戦で終わり…なんてことになったら謝って済む話ではなくなるからです。しかしながらそういう焦りが選手に悟られないよう微笑みをキープ。AさんにバレていなかったらOKなのですが…。)そこから5-5になるものの5-7にされ、Aさん自らタオリング。ツッツキとカットの混ざる長めのラリーに二本とも持ち込んで7-7、Aさんのサービスから9-7にし、10-7。最後はツッツキがネットにかかって11-7。

いやなんとも立派!チェンジコート以降もプレーが揺らがない揺らがない。ツッツキにミスは出ず、カットに持ち込んで得点、フォアとバックのツッツキの回転差で相手に打ち損じをさせて得点。カット型として理想の展開に持って行けました。5-7での流れを切るタオリングも素晴らしかったです。タオリングについては昨年の夏から部員全体に何度か伝えていて、皆段々と戦略的にタオリング出来るようになっていきました。ここでタオルを取らなかったら、結果は違っていたかもしれません。後輩にタオリングのパワーを伝えられる良い例となりました。


2回戦の相手は四つ角シード、カット型としては県内最強の選手でした。右S裏粒、デフプレイセンゾー。
ド頭の一本目を強打で得点してきて、なるほどお強いと感心。しかし打ってくれるなら攻撃力の低い攻撃型とやっているのと同じ、ナックルと切れたツッツキでの変化に相手がはまってススッと2セットを先取。しかしここからが本当の勝負だねと伝えます。相手は必ずチェンジしてくる、ツッツキで粘り続けるかもしれないし一発目のドライブをギュッと掛けてから次をスマッシュしてくるかもしれない。ツッツキで粘り合いになるなら促進に持ち込むのも視野に入れてこちらも粘ってやろう、打ってくるなら一本目の
ドライブに対してスーッとカットをしてやればスマッシュはさせないようにできる、といった話をして3セット目へ。相手はツッツキメインにチェンジ。ただし粘るのではなく行けるところで変化を付けてきました。
セットカウントを2-2とされて最終セットへ。相手サービスから始まり1-1。2-1としますがここでサービスミスが出て2-2。Aさんのツッツキがネットインして3-2、相手のサービスにやられて3-3…と離されず着いていきます。ここで相手の方が先にタオリング。相手にとっても簡単な試合ではないことが感じられます。ツッツキで得点し4-3、ツッツキが続いて相手のボールがネットにかかり4-4。フォアにぎりぎり出る強烈な上回転バックサービスからのスマッシュ、カットで返すも止められ、なんとか前に出て届くも粒で懐に押し込まれて4-5。相手がバックへのやや高いナックルをバックで打ちに来てオーバー、このパターンが二本続いて6-5。ツッツキのラリーから相手がツッツキを落として7-5で相手サービスへ。タイムアウトが取れたなら絶対にここで取るのになぁ…と思いながら観ていると、フォアにぎりぎり出る上回転SVからスマッシュ、触るも返らず7-6。バックコーナーへ粒で押し込まれてクロスに返したボールをスマッシュされエッジで7-7。このエッジがアウトだったら…と今になって思いますが、こういう失点は得てしてこういう場面でやってくるものです。

ここでバックへのナックルに対して相手のバックハンドがまたオーバーし8-7、相手にかなりイラつきがあるようで足を踏み鳴らしていました。次は相手が少し台から離れてツッツキで粘る構え、ツッツキ合いになりAさんのツッツキがエッジで9-7。先ほどタイムアウトを7-5で取りたかったと述べましたが、9-7のココで取る方がベターかもしれないなと今になって思っています。相手のサービスからツッツキ合い、浮いたボールに対して相手がスマッシュ、カットが高いものの返り相手が打ち損じて10-7。ここで相手が一本目のドライブをギュッと持ち上げるパターンを使い、カットがオーバーして10-8。ここでAさん、なぜかタオリングせず。夢中になっていたのかどうなのか…。ここでタオリングがあれば流れは変わったかもしれません。スマッシュ、ツッツキ×3で4連続、10-7から計5本連続得点され、10-12で中3の夏が終わりました。

 

○中ペン裏裏のBさん(3年生)

私はAさんのベンチに入っていたためほとんど見られませんでしたが、1回戦目は足が動かないながらも勝利し、2回戦目は敗れたものの持ち味を前面に出した良いプレーがたくさんあったと、お母さんから聞きました。1日目の団体戦では状態があまり良くないようだったので心配していましたが、良い終わり方ができたのかなと安心しました。

 

○シェイク裏裏のCさん(1年生)

1回戦は勝利。2回戦は2セット先取してから2セットを奪われ、最終セットは中盤までリードしたものの巻き返されて負けてしまったようです。今までCさんが負けて泣いているのを見たことがありませんでしたし、そういうのが気にならない性格のようだったので、終わった後に泣いているのを見て驚きました。内容は分かりませんけれど、2回戦の敗戦は本人としては大変悔しいものだったのだと思います。けれど、経験として価値があると思いますし、何より3年生の県総体でなくて良かったです。今そういう負け方をする分には、今後同じような状況になったときための糧とすることができます。県総体となれば相手選手の必死さが違い、ベンチのパワーも上がり、リードしていても戦況は常に五分五分です。そういう環境で試合できたことは物凄く大きな経験値となるはずです。

 

my卓球史上最高の出来事

Aさんの2回戦が終わり、Aさんのお母さんと私が二人でお喋りしていた時のことです。AさんがBさんと二人で通りすがりながら、お母さんに向かって「私高校でも卓球続ける!」と言い放ったのです。これは本当に嬉しかった。私の卓球史上最高の嬉しさでした。

私は人づてに、Aさんが高校で卓球を続けるつもりが無いことを聞いていました。それを聞いた時にはまるで初恋の人に振られたようなショックを受けましたが、カット型としてある程度完成したし、やりたくてカット型になったわけでもないし、彼女の人生だし、まぁ仕方ないんだな…;;と何とか気持ちを落ち着かせていました。

私が中学生と関わり始めて常に柱としていたのが『卓球を、好きになってもらう』ということだったのも、嬉しさを倍増させた要因です。中学生に部活として卓球が選択されるとき、必ずしも積極的な理由ばかりでないことは明らかです。私自身、小学校時代の一番の友達がやっていたから何となく選びました。が、そこからドハマりして今日に至ります。どんな理由であれ卓球を選んでくれたのだから、生徒たちには(押しつけがましいと思われないよう、こっそり魔法をかけて)卓球の楽しさを感じてもらいたいと強く思ってきました。楽しいと思えば練習したくなり、そうなれば自然と、無理なく上達していきます。そして楽しいと思う気持ちを失わなければ高校生になっても卓球を続けてくれる、そう信じてやってきました。

だからこそ楽しそうに卓球し、私との個人練習まで自らやりたいと言ってくれたAさんが続けないというのはショックでした。そうやって一度沈んだ反動もあったかもしれません、でも上記の言葉を目の前で言われて本当に嬉しいというか救われたというか。私がやってきた全てが認められたように感じました。

Aさん曰く、「最後のほうだけはガチでやろうと思ったけど、硬くなってミスが出ちゃった」とのこと。元々Aさんは勝つ見込みがないと思っていたのでしょう、それが2セット先行し内容的にも勝負になって10-7と追い込んで。そこからの5連続失点ですから、涙は見せないものの本人なりに悔しい敗戦だったのかもしれません。そういう試合直後の発言ですから、受験勉強をしたり高校に入って部活の様子を見たりする中で気持ちが変わるかもしれません。そうなったらそうなったで致し方無しと思いますし、私から本人に向かって続けて欲しいと言うことはありません。でも、例え気の迷いであったとしてもその瞬間は卓球を続けたいと思ってくれたことは確かなので、もう十分Aさんからはお返しを貰ったなと。

 

もしも過去に戻れたら

私が中学生の指導に携わるのは、過去の自分に教えてあげることができないからです。タイムマシンに乗れるなら、過去に戻って中一の自分を育てたい。けれどそれは叶わないので、過去の自分の代替として目の前の中学生たちを支援しています。卓球の楽しさ云々というのが柱というのは本当ですが、心の奥底、根っこの部分は過去の自分の代わり。

こういう思考があり、Aさんを見ていて思うことが。もし過去に戻れたら自分を県大会に連れて行ける、県大会で勝てるレベルにまで引き上げることがきっとできるという自信を得ました。Aさんの方が生まれ持っての能力は私より高いと思います。でも私がマンツーマンで過去の私を見て上げられたらその差はカバーできるはず。なんてね。

 

もう一人のカット型Dさん

我が校の三年生には、Aさんの他にもう一人カット型がおりました。Dさんは個人戦ではダブルスのみに出場し、市総体は優勝で抜けたものの県総体には届きませんでした。団体戦ではシングルスのメンバーとして起用され、地区総体では活躍を見られました。しかしながら市総体以降は私との練習時間が減ってゆき、個人戦シングルスに出場するAさんと待遇に差が付いてしまいました。仕方ない部分もあるのですけれど、二人ともカット型ですから自分の分身を見ているようで、私の取っては二人とも同じように大切でした。ですから、段々と私との練習量に差が付いていくことに寂しさと申し訳なさを感じていました。高い運動能力で早々と新しい扉を開けていったAさんに対し、Dさんは最近になってグングンと伸び始めていました。だからもっとDさんとも練習したかったし、彼女のこの先の成長を見たかったなと強く思います。Dさんにとっては2年半という時間は短すぎました。

県総体ではさらにAさんのベンチに私が付きっきり、片やDさんは観客席からAさんを応援します。実は人づてに、Dさんが高校で卓球を続けるかどうか迷っていると聞いていました。続けようという気持ちをAさんとの待遇の差を見せつけられることによって潰してしまいやしないかと心配しています。Aさん同様無理に続けてもらおうとは思いませんが、Dさんにはもう少し伝えないといけないことがあるなと思うところでございます。こーれはお手紙でもしたためるしかないかな…。

 

 

また別記事で他に思ったことを書くかもしれません。でもとりあえず、ここまでです。

 

(おわり)