卓球と技術のソノサキ

中学卓球部における指導と自分の成長記録の二つがメインです。

食わず嫌い

今回の主役は2年生のエース、Aさん。彼女の性格に関するお話です。

(私の書く文章にはそこここに”Aさん”が登場しますが、便宜上Aを使っているだけで特に意味はありません。同一人物とは限りませんし、イニシャルがAだったりそうでなかったり。)

 

 

食わず嫌いだという仮説

この年代の女の子とは思えないほど、いろいろなことに対して自分の意見を明確に持っているAさん。私は基本的には彼女のそういう特徴を素敵だなと思っているのですが、時に頑固というか柔軟性が無いというか、そういう風に感じることがあります。

 

例えば対カットの練習にて私が乗せ打ちを勧めたところ、「(打っている感じが薄く)打つことに集中しづらい」と難色を示しました。

また、ファスタークC1では今のAさんには荷が重いと感じ別のものを試してもらっていた頃、「(C1に比べて)柔らかくてミートがしづらい」、「回転がかけにくい」とこれまたご不満のご様子。

 

しかしながらある試合でカット型と当たり、乗せ打ちせざるを得なくなった場面で「この前やってたアレなら回転にひっかからないから、使ってごらん」とアドバイス。思っていたより威力があることに気付いたのか、そこからは乗せ打ちを使ってくれるようになりました。

ラバーについても今では私が勧めたものに慣れ、「回転をかけるのがラク」、「無理しなくて良くなったのでこっちの方が良いと感じている」といった感想が出てくるようになりました。クラブのコーチの評価は私が勧めたラバーの方が回転をかけやすく良いとのこと。「君自身はどう思うの?」と尋ねると、↑のような回答がありました。

 

このような出来事から、彼女は頑固なのではなく保守的な思考の持ち主、もっと易しく言えば食わず嫌いのきらいがあるのではないかという仮説を立てました。一度試して気に入れば素直に評価を変えるからです。

彼女の良いところは、X案からY案に完全に乗り換えるのではなく、「X案にはこういう良さがあったけど、Y案にはこういう良さがあることに気付いた」と両方の良さを同時に評価できる点です。お勉強は得意とは言えないようですが、素晴らしい脳のメモリをお持ちです。

ラバーについてはこのようなことを言っていました。「C1にはC1の打ち方がある。」全くその通りだなと私も思っております。G1・C1のシートは他のスピン系テンションと味付けが少し違うなと。ですから私が勧めたラバーに対し、最初は拒否反応が出るはずと予想していました。柔らかいラバーに慣れてしまえば、C1の時ほどグッと力を入れなくても球を持ってくれるという長所が見えてきます。

 

 

仮説の検証・その結果

私が懇意にしているレッスンプロBさんのレッスンを受けてみないかとAさんに話したことがあります。(私がBさんのスポークスマンだからではなく、Aさんが通うクラブでは技術の先を十分に教わることが出来ないと感じるからです。Bさんのレッスンでは基礎技術の練習ではなく、基礎技術を試合で使う形に近付けての練習が中心です。より少人数でのレッスンなので、各選手の試合内容までイメージして練習を組んでもらえますし、技術の使い方、試合ではこういう感じになる、などといった技術の先を手厚く教えてもらえます。)

すると、「Bさんのベンチでのアドバイスを聞いていて、私とは合わないと思った」と難色を示されました。その時には「なるほど、AさんとBさんは性格的に似ている所があると思っていたし、合わないこともありえるだろう」と納得しました。しかしこの出来事の後で、先述のような乗せ打ちとラバーでの難色事件が発生。Bさんへの拒否感ももしや、お得意の食わず嫌いなのではないかという疑念が湧いてきます。

 

そして先日、大会会場でAさんと話す時間がありました。Aさんが通うクラブではナックル系のバック表、変化形のバック表の対策が出来ないという嘆きから、話の流れで食わず嫌い説が証明されました。

※↓に登場するCさんは他校の1年生、Aさんが数回0-3で敗北している選手です。Bさんのレッスンを受けており、週に一度私も練習相手として彼女と顔を合わせます。

 

私:「この間Bさんのとこで、僕がバック表のブロックでCさんの相手したよ。バック2本、フォア1本、バックは繋いでフォアに来たら強打…みたいな感じでさ。実戦でもそういう展開あるでしょ?」

 

Aさん:「学校でもそういうフットワーク練習というか、切り返しの練習したいです。…C、どんどん強くなってて…」

 

私:「それはほら、Bさんに技術の先まで仕込まれてるからね…。あの子は(Aさんとは別の)クラブ辞めて練習量はあなたよりずっと少ないけど、そう感じるってことはBさんのレッスンが良いってことなんじゃない?」

 

Aさん:「うーん…」

 

私:「やっぱりさ、お試しで一回Bさんとこ来てみたら?この間は『私とは合わない』みたいに言ってたけど…」

 

Aさん:「あー、合わないって言うか、ちょっと怖いなって…」

 

私:「あ、そうなの?僕はまた、いつもの食わず嫌いなのかなって(笑)。ほらあなたよく食べる前から『あ、それきらい。食べないもん!』みたいなことあるでしょ(笑)?」

 

Aさん:「あぁ私、食べ物でも結構そういう感じなんです~(笑)。」

 

私:「なるほどね、そうなんじゃないかなって思ってたんだ。(笑)Bさんのこともそうなんじゃない?Bさんに教わってる子たちに聞いてみたけど、ベンチで怖いと思ったことはないって言ってたよ?」

 

Aさん:「えっ、そうですか…?」

 

私:「一回口に入れて味見してみたらいいんじゃない?お試しでさ。」

この辺りで先生から集合がかかって会話は終了しました。

(普段私は(笑)という表記は使わないのですけれど、ト書きを書くのも億劫だったので使ってしまいました。なんだか知性が足りないように見えませんかね…)

 

思いがけず、仮設の正しさが証明されてしまいました。実際の食べ物もそうだというのには納得できます。さもありなん、といったところです。

 

1年生に聞くと大抵、Aさんはちょっと怖い先輩という評価が返ってきます。思ったことはパーンと言う性質で、卓球が上手なこともあって1年生からしたら遠い存在というのも乗っかって、畏怖の念に近いものを抱かせてしまうのでしょう。

私から見れば今回の食わず嫌いのようなところも含めて、愛嬌というか弱みもあってかわいらしいなと思うのですけれど。

 

 

Aさんが尊敬する3年生のDさん

今回の話でAさんが、Bさんのレッスンに対し乗り気になったかは分かりません。前向きになったとしても、お家の方の都合もあります。しかしAさんが尊敬しているという3年生のDさん(かつてのエース)がBさんのレッスンに通っており、Dさんから直接話をすれば心が動く可能性が高いです。Dさんはもうすぐ受験を終え、部活に参加するようになります。そうなれば部活中にやり取りができるでしょう。

私がDさんと話したところ、「Aさんはあのクラブではあれ以上強くなれないと思う」と語ってくれました。私の見解と一致しており、なんとかBさんのレッスンを味見するところまで持っていきたいです。よく噛んでみたり調理法を変えてみたりすれば、きっと美味しいはずです。

 

(おわり)