運命

今月になって初めて、”3校目”の中学校の練習に参加してきました。

そこでついに、出会ってしまいました。

 

一つ前の記事で最後に触れた、C中のお話です。

 

 

出会いがもっと早ければ…

市総体後に練習に行くことが決まっていたので、市総体の会場でC中の三年生数名とはおしゃべりをしました。その時に一番反応が明るく、印象に残った三年生がいました。Sさんとしておきます。

彼女の握るラケットを観ると、灰色地にサーモンピンクのライン。なんだか見覚えが。

 

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そう、ティルナです。

話を聞いてみると、「カット型になりたかった。でも、教わる人もいないし、なれないままここまできてしまった。」とのことでした。

明確な意思を伴った「カット型になりたかった」という言葉を、私は初めて女子中学生から聞きました。あぁ、ここにいたのか…せめてあと1年早く出会っていれば…。それでも前陣での粒の扱いは教わっていないとは思えないほどよくできていました。才能もあったなぁ…と口惜しい限りです。

彼女だけでなく、3年生たちはそれぞれ良いパーツを持っていました。同様に、1年早く出会えていればと思うばかりです。

 

地区総体が来週に迫っているので、練習に行く前から3年生へのテコ入れは現実的でないと考えていました。そこで、3年生についてはまず練習の様子を見て良いパーツを探し、今の技術力のままでできる戦術を組み立てて伝えることにしました。

例えば長くて切れたサービスがある。しかし切れたツッツキが返ってくるとそれをドライブすることはできない。そういうシェイクバック粒の選手がいました。彼女に尋ねたのは、同じ動きからナックルサービスが出せるかということ。彼女の場合はすぐにナックルサービスが出せたので、

  • 切れた下とナックルの2種類をメインとして使うこと
  • 切れた下を出したら切れたツッツキが返ってくるので、粒高を使ってラリーに持ち込むこと
  • 切れた下に紛れてナックルを出せばやや甘いツッツキが返ってくるので、それをフォアハンドで待つこと
  • 自分のサービスを出す前にその二つの方針を確認し、サービスを出したらすぐに次球の準備を始めること

を伝えました。

ほぼ初対面でしたが、頷きと「なるほど」という言葉が何度かあったので、彼女の思考力の高さが窺えました。表情を見ると、論理的に納得できたようです。今の技術のままもっと点を取ることはできる、ということが伝わった手ごたえがありました。

彼女と打ちあっていた選手についても同様のプロセスを経て、戦術を提案しました。やはり理解が早く、また3年生全体として素直な雰囲気で、B中の3年生たちとはだいぶ様子が違うなぁと感じました。

 

もっと早く出会っていればと悔やまれますが、こればかりは時の定めと申しましょうか、運ですのでどうにもならないですね…

 

 

運命の出会い

計3時間の練習のうち1時間を3年生に、残り2時間を1,2年生に接触する時間として使いました。

1,2年生には、経験者に相手をしてもらってツッツキのお手本を見せ、説明をし、経験者の彼女が1年生、私が2年生の相手として台に入ってフォアとバックのツッツキを練習しました。

一通り終わって3年生の元へ行くまでの20分ほどどうしようかと思っていたところ、「打ちたいです!」とニコニコしながらやってきた2年生が一人。おお、じゃあ打とうか!ということで台に付き、何を練習したい?-ツッツキです!などというやりとりをしていると、

「どうしたら、カット型になれますか?」

という言葉が、彼女の口から飛び出しました。聞くと、カット型になりたいのだと言います。最初にどういう練習をしたらいいか、バックは粒と表どちらが良いのかなど、次々と質問をしてくれます。どうやらこれは只者ではないな…と思いながら、経験者を相手にいつもの”台上で小さくカット”練習をやって見せました。時間の都合上それをやってもらうことはできませんでしたが、次回練習に行く際にはそのつもりで伺おうと思います。遊び感覚で触ってみてごらんと伝えて、携えていた貸し出し用カット用ラケットを渡しておきました。

 

カット型になりたかった3年生については大変残念ですが、2年生の彼女とはともすると運命の出会いをしてしまったかもしれません。本人の意思を確認しつつトップの映像を見せ、望むなら転向の支援をしていくつもりです。

 

いやぁ、嬉しかったなぁ…。カット型になりたいなんて、しかもノリノリの言葉をはっきりと聞いたのは初めてだったので…。

中学生の支援を通じての嬉しい出来事、1位を更新しました。

 

 

 

(おわり)