シェークバック粒

バックに粒を貼ることの狙いや戦略・戦術、用具等について。

 

どんな選手がどんな時にバックに粒を貼るか

  • ピッチの速いラリーが苦手
  • フォアは強いがバックでは得点が難しい
  • ドライブでもブロックでもカットでも勝てない

 

バックハンドが振れないからバックに粒を貼らせよう…というのも往々にしてあることかと思いますが、中学スタートの子供たちに対して最初からその判断をすることには個人的には反対です。半年~1年間は裏裏で技術を一通り教えた上で、選手それぞれの特性を踏まえて考えるべきです。

 

粒高をバックに貼ることで、ラリーのテンポを遅くすることができます。フォアで強打した後でもバックで当てればスローボールが出るので、時間を作って次球を再びフォアで狙うなりバックでプッシュするなり選ぶことができます。動きがゆっくりな子でも、バック粒を挟めばラリーに遅れづらくなるでしょう。(せっかくフォアで打ったのにバックで当てると遅いボールが出てしまう、と捉えることもできますが)

バックハンドが振れる選手でも、速いラリーになるとついていけないような場合はバック粒が選択肢に入ります。

あるいはフォアハンドが強くてバックがあまり振れない場合、バック粒で止めて相手がツッツキしてきたところを狙う方針が取れます。

 

「中学は粒高で勝てるから」という安易な発想で最初から粒高を貼らせることは、選手の可能性を奪い、卓球の楽しさも奪ってしまいます。やはり裏ソフトでのドライブ・ブロック・ツッツキの打球感は気持ち良いものです。

それに、フォアで強打した後バック裏であれば当てるだけでも相手を追い込めたのに、バック粒であるために相手に時間を与えてしまって再びラリーになってしまう恐れもあります。裏裏で始めて、フォアの後のバックがある程度使えて得点出来るのであれば、わざわざバックに粒を貼る必要はありません。

 

たとえ強烈なバックハンドが振れなくても、フォアは強く打ってバックはひたすらブロックやショートで粘るスタイルで勝つことはできます。

異質型の育成で名高い作馬さんはこうおっしゃっていました。

ドライブでダメならブロックで、カットでやってみる。それでも勝てなければ粒高を貼ってみる。

 

 

戦略・戦術

軸とする戦略としては、

  • バックは止めてフォアで狙う
  • 両ハンドでラリーする

に大別されるでしょう。

つまりフォアで攻め込むための布石としてバックを使うのか、ハナから両ハンドでラリーして変化で得点を狙うのか、の二択です。もちろん状況や相手に応じて両方使うことになりますが、粒高を貼ることの目的として何を中心に据えるかということで。

 

フォアで狙っていく場合、相手にツッツキをさせたいのでバックは長短の変化を付けられるようにします。そのためには、ボールはゆっくりで良いので長く押すのと短く止める練習が必要です。プッシュとブロックですね。

 

両ハンドでのラリーを軸とするなら、ブロック・プッシュ・下/上回転に対するバックハンドを練習する必要があります。

 

用具

戦略を決めた後であれば用具は決めやすいですね。

ラケットについては、ペン粒と違ってフォアの裏ソフトを使わざるを得ないためオールラウンド用ラケット以上の弾みは必要と考えます。”守備用”とされるラケットでないほうが良いと思います。

個人的に触って感触が良かったのは、TIBHARのサムソノフピュアウッド。

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バックに薄いラバーやOXを貼ってもフォアの打球感がポコポコせず、球持ちが良いと感じました。

 

板厚が6mmを超えているラケットの方が良いのかな…と感じています。重量を重くすることができるので。

剛力…もいいんでしょうね。中古でお安く手に入れば試してみたいものです。剛力は硬くて重くて、板厚は4.9mmとだいぶ薄いですよね。ですから厚いことが重要というより硬さと重さなのかなと。だから硬めの7枚合板セプティアーは粒に合うと言われているのかな。

 

フォア狙いでバックは短く止めたいならスポンジ無しのOXで、ラバーは低弾性の方が良いでしょう。相手のドライブをビタッと止めたり、プッシュからのブロックで前後に揺さぶったりしてツッツキをさせ、フォアハンドで強打しに行くと。

 

ラリー志向であればスポンジが薄や中のものからOXまで、いろいろ候補に入ると思います。

セプティアーにカールP3αのOXを貼って試したところ、バックハンドを振っても入るしブロックも短く止まるので、スポンジが無くてもバックハンドは行けるんだなと。ただあまり嫌なボールは出ていないようで、簡単にブロックされていましたが…。

He Zhoujiaのように全てバックハンドを振って粘るなら薄や中もいいのかもしれませんが、中学スタートであればバックはOXで止めてフォアで行く方が現実的でしょうね。

 

「スポンジがあった方が最初は安定してやりやすい」という説もあるかと思いますが、最終的にはOXの方が扱いは簡単そうです。裏から粒に替える最初のラバーは極薄のスポンジ入りで、次の交換からOXにしてしまうのが良いと思います。

 

 

(おわり)