休憩時間の使い方

本物はやはり違うのか。

本物が言うからそう聞こえるのか。

 

 

 

大学時代の先輩に、野中由紀さんという方がいらっしゃいました。全日本社会人で準優勝したカット型の選手です。

直接教わることができた時間は限られていましたが、大変お世話になりました。

 

今回は、そんな野中さんとの休憩時間にまつわるお話をご紹介します。

 

 

飽きてしまうから仕方ない?

当時の練習は、1時間打って10~15分休んでまた1時間打つという流れでした。

休憩時間中に推薦の男子選手はスマホを触っている時間が長く、女子選手や実業団に行くような選手はスマホをほとんど触らないことに気が付きました。

推薦の学生は平日は2時間、休日は午前・午後に2時間ずつの規定練習を義務付けられておりました。卓球漬けの人生を歩んできた彼らは卓球で勝つために入学を許可され、卓球から逃げることは許されません。

いくら好きなことと言っても、そればかりやらされていては飽きるのが自然でしょう。勝たなければいけないプレッシャーも加わって、彼らはもはや卓球を始めた頃の情熱を失いかけているようにも見えました。

ですから、休憩時間くらいはスマホをいじるのも致し方ないのかなと思っていました。 

 

頭を休める

ある時、そんな話を野中さんとする機会がありました。

毎日卓球だから休憩時間くらいはスマホをいじるのも仕方ないんですかね、ということと、毎日練習が強制なのって辛くないのですか、と尋ねたんですね。野中さんの返答は次のようなものでした。

 

私は常に何かを意識して練習しているから、休憩時間には頭を休めたい。練習内容の反芻・復習をしてから、2コマ目の練習をしたい。だから私には携帯を触っている時間はない。

 

毎日の練習も、いつも何か習得しようとしている技術や感覚があるから、むしろ休みの日が怖い。掴みかけた感覚を忘れてしまうのが怖いから、毎日練習でも辛くはない。

 

頭を…休める…( ゚Д゚) ?? と当時の私は思いまして。

今ならどちらの話も分かるんですけれども、当時は練習の意味だとか新しいことをできるようにとか考えたことがなかったですから…。

ただひたすらバックカットばかりやっていたと。

 

中学スタートの子たちも、当時の私と同じだと思うんですね。練習した先に何があるか、試合でその練習がどう活きてくるのか知らないから、ただ打つだけになってしまう。頭は疲れず、休憩時間はスマホの虜に。

 

指導する側は、練習の意味、練習において掲げるべきポイント、試合でそれをどう使うか、試合のどの局面・場面を想定している練習なのか、などを伝えていくべきだと考えています。

本当に勝ちたい人なら、自然と休憩時間の使い方が変わっていくはずです。

 

 

スマホに囚われる子供たち

秘密練習に来ている中学生たちは、休憩時間にスマホの虜になっています。

卓球をするためにわざわざ時間を削って来ているのに、その合間でスマホを使うというのは私には理解できませんね。「それ、今じゃなくても良くない!?」って、思っちゃいますけれども。どうせ打つんだったらその時間を最大限活用しよう、とは考えないんでしょうか…

 

かと言ってスマホを触るなと強制するのは違うと考えています。見かけ上スマホを手放したところでその時間が卓球へ向かうとは思えませんし、かえってマイナスになるだろうと思います。

脳内でう~んと唸りながら、何も言わないようにしております。私が言って納得してくれるような人は、大抵学力において校内トップの層ですね。スマホへの依存度と学力・卓球への関心の強さは相関がありますわね。

 

結局は、卓球に対する心持ちが違うんですね。本気になるには時間がかかるということでしょう。私だって中学生の頃どうだったかと思い返せば今ほど勝敗や内容に対する執着はなくて、でもとにかく卓球が楽しい、好きだなという気持ちは強かったと思います。やめるという発想は1ミリもなかった。

 

卓球を始めて、3,4年経つ辺りでようやく本気になるのかなとも。私が見ている多いとは言えない例を思い返すと、中学スタートで高校でも続けると決めた子たちは、休憩時間の使い方が変わっていくかなぁと。ただまぁ、続ける選択をできるところまで気持ちを持っていけないと、本気になるも何もないんですけれど。

 

まだ、卓球よりスマホのほうがおもしろいってことなんでしょうね。

まーた愚痴になっちゃいました。他人に期待しすぎるのは、良くないですね。人様の人生なんだから。

 

 

 

(おわり)