リストカット

秘密練習への参加者の中に、リストカットをする者が現れました。

 

つらいときに誰にも相談しない、人に援助を求めない。

そんな状態を変えられるか。

 

 

問題はリストカットの裏にある

長期的には自傷行為そのものから脱することができるよう対応していくべきですが、今考えるべきはなぜリストカットをするに至ったかということ。

原因は一つとは限らず、本人さえその理由を明確に答えられないかもしれません。このことから、リストカットは氷山の一角と例えられるようです。本当の問題は海の下ー意識の下にあると。まずは本人と対話して、一緒に理由を探しながら解決に至る道筋を探さないといけません。

 

あまり直接的に話題を振るのも本人にとって気まずいかもしれないけれど、気遣って触れないのも事態の悪化を招く可能性があります。

 

自傷行為自体を否定する余地はありません。結果そうなってしまっただけで、本人も望んでやったわけではないからです。それは、手首に湿布を貼って傷を隠そうとすることから推測できます。良くないこと、恥ずかしいことだという意識はどこかにあるということです。本当に望んだことではないけれど、そうせざるを得ない理由がその裏にあるはずです。

言葉で他人を頼ることができないから、自傷という形で周囲にSOSを発しているのだと捉えないといけません。事態が悪化する前に手を打たないといけない。

 

 

生きるために、切る

恐らく彼女は、死を望んで自傷行為をしたわけではないと思います。。

とはいえ、死ぬためではなく生きるために自傷に走った人でも救急搬送や死に至るケースが出ているのが現実です。

 

 

自傷する人が切っているのは皮膚だけではないのです。彼らは皮膚を「切る」のとともに、意識の中で、つらいできごとの記憶やつらい感情の記憶を「切り離し」、それらを「なかったこと」にしているのです。

 

 しかし、たとえ「生きるため」であっても、自傷には2つの問題があります。
その1つは、その「鎮痛効果」が一時的なものでしかないということです。

(中略)

もう1つは、自傷エスカレートしやすいということです。
すでに述べたように、自傷による「心の痛み」に対する鎮痛効果は、脳内の麻薬様物質によるものと考えられています。実は、自傷にも麻薬と同じ特徴があります。
つまり、麻薬には、くり返し使っていると効果が落ちてきて、次第に使う回数や量が増えていくという、「耐性」という現象がありますが、これと同じ現象が自傷にも見られるのです。
最初は、つらい家庭や学校での生活に耐えるために週に1~2回切ればよかったのが、次第に毎日、あるいは1日に数回切らないと耐えられなくなってしまいます。あるいは、「より深く」切る必要を感じたり、最初は左腕だけだったのが、右腕も、となります。時には太ももやお腹、あるいは首や顔といったデリケートな部位まで切らないといられなくなってしまうのです。

 

 

自傷する人は飲酒・喫煙の習慣を持つ人が多く、薬物乱用経験者も少なくありませんし、女性であれば、摂食障害的な傾向の人や、また、望まない妊娠や性感染症、あるいは、リスクの高い危険な性行動をとる人もいます。
これらはいずれも広義の自傷と捉えられるでしょう。
しかし、自傷する人に見られる、こうした自傷的行動の中で最も「自傷的」な行動は、決して自傷でも薬物乱用でも摂食障害でも危険な性行動でもなく、「つらいときに誰にも相談しない、人に援助を求めないこと」なのです。
そのことを忘れないようにしてください。

 

 

お母さんからの学校への電話によって事態が発覚したそうです。

10月上旬、学校の練習に行った時に彼女の手首の一方に湿布が貼ってあることに気付きました。その時点で、リストカットの可能性が頭をよぎりました。家庭環境からして、なくはないなと。その時には「それは…治るやつなの?」と聞いて、「えー?治りますよ~(笑)」と返ってきました。直接どうしたのと尋ねるのを避けたのは、本当にリストカットの場合に応答がないかもしれないと考えたからです。

一見すこぶる元気でしたので、あぁじゃあ杞憂かなと思っていたのですが今日先生から聞きました。確かに思い返せば、今日は太ももにも細い線キズがところどころにありました。

 

なんとか彼女を、救いたい。

いつでも相談していいんだ、どんな自分も受け入れてもらえるんだと理解してもらう必要があります。全てを承認するわけではないけれど、どんなことをしようが否定はせずまずは聞いて受け止める。大学で学んだこのカウンセリングの鉄則を、活用するときです。

 

とりあえず土曜日の部活の後に、もう一人の部員と3人で一緒に勉強をすることにしました。今回の一件も問題ですが、家庭の事情で小学校4年生の頃に学校に通えない時期があったためにその周辺の学習内容がおざなりになったままだと本人から聞かされましたので…

それは今、埋めておかないといけない。勉強こそが、荒んだ家庭環境のループを断ち切る手段ですから。

 

いやはやしかし…

こういうことを、仕事に出来たらなぁ。いやそれも、辛いのかな…なんて。

 

 

 

(おわり)