原題:Er ist wieder da(彼が帰ってきた)。2015年公開。
ジャンル:コメディ、ドキュメンタリー。
公開当時、予告編の映像を観て以来気になっていました。
最近Amazon Prime Videoにて会員無料になっているのを発見し、視聴。
あらすじ
ナチス・ドイツを率いて世界を震撼させた独裁者アドルフ・ヒトラーが、現代に蘇る。非常識なものまね芸人かコスプレ男だと人々に勘違いされる中、クビになった局への復帰をもくろむテレビマンにスカウトされてテレビに出演する。何かに取りつかれたような気迫に満ちた演説を繰り出す彼を、視聴者はヒトラー芸人としてもてはやす。戦争を体験した一人の老女が本物のヒトラーだと気付くが……。
個人的な評価 ★★★★★ 5/5
予告編ではコメディー要素が強調されていますが、着目すべきはヒトラーに扮したオリヴァー・マスッチがドイツの街で一般の人々と直接会話するシーン。
このゲリラ的撮影では、ナチスやヒトラーに対して強い嫌悪感を露わにする人たちが映し出される一方で、政治・移民・貧困といった社会問題に対するドイツ国民の本音を垣間見ることができます。
これらの社会問題により揺れる現在のドイツを思うと、第一次大戦での敗戦による多額の賠償金、ベルサイユ条約にて課された条件、世界恐慌による経済混乱などによって虫の息であったドイツ国民がヒトラーを支持したのも無理からぬことかなと。
肯定するわけではありませんが、歴史の流れからして避けられなかったと思います。
第一次世界大戦~第二次世界大戦あたりの歴史を踏まえた上で観ると、より楽しめるはず。ところどころにコメディ的なシーンや、「ヒトラー最期の12日間」の有名なシーンへのオマージュが散りばめられているのも良かったです。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のオマージュもあったようですが、そちらを観ていないため分からず…💦
政治や社会問題に興味が無い方でもコメディー要素により堅苦しさは感じないので、人を選ばずオススメできる作品です。
(おわり)