反転ツッツキ

先日の練習で、私の一番の得意技をカット型の三年生二人(A,Bさんとします)に伝授しました。今回は反転ツッツキのコツや価値、練習の中で気付いたことなどを書いていきます。

 

目次

 

 

練習手順

  1. バッククロスで、バック面裏ソフトのままツッツキ
  2. バッククロスで、粒ツッツキ二本、裏ツッツキ二本の繰り返し
  3. こちらの下回転サービスから、裏二本粒二本
  4. こちらの下回転サービスから、裏1本粒1本からの回り込み強打

 ※ただしこの記事では、シートが硬めのラバーに適した打ち方について書いております。(私はラクザ7、生徒二人はラクザ7ソフトを使用しております。)シートが柔らかいラバーで同じようなことをすると吹き飛ぶか、あるいは思ったように回転がかからなかったり深く送りづらかったりすると思われます。

 

各手順におけるポイント、気付いたことなど

手順1 バッククロスで、バック面裏ソフトのままツッツキ

そもそも反転ツッツキの価値は、粒高でのツッツキとの回転差が大きいことです。これを最大限に生かすためには回転をかけることだけでなく、差し込むようなツッツキを送って相手を詰まらせることが大切です。そのためのポイントは以下の通りです。

  1. テイクバックは取らず、ラケットはボール二個分だけ動かす(振り切るのではなく、止めるような感じ)
  2. ラケットを握った状態の人差し指を、見えない柔らかい壁にグサッと突き刺すようなイメージで動かす(=ラケットヘッドは横を向いたままツッツキする)
  3. ボールが自コートでバウンドして、頂点に達する前に触る

「ボール二個分だけ動かす」という表現が一番効果的だったように思います。実際に私が自分の感覚を表現しようとしたときに核となるのはコレです。柔らかい壁に突き刺す…というのは、彼らに私の感覚をどう伝えるかを今回の練習に向けて考えたもので、言ってみれば後付け的に作った表現ですのでやはり効果は薄かったかな…。

小さく素早いスイングでツッツキすることで突き刺さるような軌道になるため、相手がドライブしようとした時に持ち上げられない可能性が上がります。また、相手がツッツキしようとした際にも粒と比べて軌道が低くて速いために詰まり、回転量以上にネットミスしやすくなります。

 

手順2 バッククロスで、粒ツッツキ二本、裏ツッツキ二本の繰り返し

反転ツッツキを、実戦に近い状況で使っていきます。下回転サービスを粒でレシーブし、もう一本粒でツッツキしたら反転して二本ずつ繰り返します。二人ともバックハンドサービスを使えますから反転自体には慣れていますが、ラリー中に反転することはあまりありません。この練習をすることで、今までの粒高ツッツキから反転してツッツキする動作に身体を慣らしていきます。

ほぼナックルのふんわりしたツッツキから滑るような切れたツッツキが飛んでくるので、こちらが面を思い切り変えなければミスしてしまいます。裏ソフトのツッツキは深く入ることが多いので、粒高のツッツキの深さを意識するとより良いでしょう。二人ともカールP4ですから上手く使えば粒でも回転がかかるのですが、反転ツッツキと合わせれば切れないことを逆手にとることができます。

そもそも私自身が反転ツッツキをするようになったのは、P1特薄を使う中で切っても切っても切れないと感じたからです。

「粒高で切れないなら反転をすればいいじゃない!」

 

手順3 こちらの下回転サービスから、裏二本粒二本

レシーブから裏ソフトで切っていき、二本ずつ。手順2と違って裏ソフトのバックツッツキから始めるためか、粒高のツッツキのスイングが裏ソフトのスイングに引っ張られて小さくなっていることに気が付きました。本人に自覚はあるのでしょうか。小さいスイングでの粒高ツッツキも入らないことはないですが、深いツッツキに対してそれをするとネットミスするか浅く入ることが多くなります。短いツッツキを押し込むには適したスイングですが、深いツッツキに対する粒高ツッツキが小さくならないようもう少しこのパターンは練習しておきたいところです。実際の試合でも使えるパターンですしね。

 

手順4 こちらの下回転サービスから、裏1本粒1本からの回り込み強打

裏ソフトでツッツキした後に粒でツッツキを送ると相手が浮かせて来る可能性が高いためこのパターンを練習。この練習を積んでおけば、ツッツキのラリーの中にそっくりそのままこのパターンを導入することができます。これが一本決まれば相手はツッツキを低く収めたくなり、裏ソフトでのツッツキがより効果を発揮するようになります。

 

Aさんがこの練習をしている時に、反転をし過ぎてカールP4でフォアハンド強打をしてしまう場面がありました。スイングは普段裏ソフトで打つ時のものと同じでしたが、軌道は裏ソフトでの強打とあまり変わらず台に入ってきました。これを見て、やはり上手く使えばツッツキを切ることができるはずだなぁと思いました。P1でフォアハンドを振ろうと思ったら、裏のスイングとは全く変えなければいけませんから。…とこのことは置いておいて、実際の試合でフォア粒でスイングを始めてしまったら迷わず思い切って振るように伝えました。

 

AさんとBさん、それぞれへのアドバイス

人間が違えば動きは違いますから、伝えるべきアドバイスは異なります。また、同じことを狙いとしていても人によって表現を変えた方が良いことも多いです。

Aさんはコンパクトな動きを得意とする反面、大きな動きは不得手としています。一方でBさんは普段から大きく動くことができているものの、コンパクトな動きは苦手です。以前、大きなスイングのループドライブを二人に練習してもらいましたが、Bさんがすぐにコツを掴んだのに対してAさんはなかなか大きく振れずにいました。そんな二人に特に効果があったアドバイスをメモしておきます。

 

[Aさん]

  • ラケットはボール二個分だけ動かす
  • ラケットヘッドは横を向けたまま

Aさんにはもともと合っているツッツキだったようで、最初に伝えたポイントだけでコツを掴みました。

 

[Bさん]

  • ラケットはボール二個分だけ動かす
  • 身体の正面で打つ
  • 手首を回さないようにする
  • 肩から上をボールに近付けるようにして、目線をボールに合わせる感じで
  • バウンドしてから上がりきる前にツッツキする

 BさんはAさんに比べれば感覚を掴むのに時間がかかりましたが、上記のアドバイスをする度に目に見えてツッツキの質が上がっていきました。伝えた順に書いています。最後の二つのアドバイスで、ヤスリをかけることができたと感じます。

 

映像を見返して気付いた点

Aさんがツッツキする時に時々、足裏を上手くクッションに出来ていない場面がありました。踵から着地していることが多いのですが、そこからつま先にかけて巧く体重を移動させることができていないことがあります。そうすると特に反転してのツッツキが吹き飛びやすくなりますので、次回修正しないといけません。とはいえ手順4までスムーズに進んだので、次回以降の練習は手順4から始めるのが良いでしょう。

Bさんは練習序盤では、ボール二個分のスイングで私の理想とするツッツキが出ていました。中盤で私が、「これが前でできれば後ろでも同じこと出来るよ」と言ってしまったために、少し打点が落ちてしまったようです。前陣でのスイングの大きさは良かったものの力が入りすぎて安定を欠いていたのは確かで、少し打点を落とすと丁度収まるので大きいスイングに居着いてしまったのかもしれません。次回に前陣で打つことと力の入れ方をチェックし、うまくいくようなら習得できるでしょう。次回の練習、彼女の場合は手順2から。粒高での大きいスイングに引っ張られて、裏ソフトのツッツキが大きく打点も落ちてしまっているようです。粒と裏でのツッツキを区別して身体に覚えさせなければいけません。

 

所感

今回のコンパクトツッツキについてはAさんの方が習得は速く、私の思い描くツッツキを数分で会得しました。テイクバックが抑えられ、ボール数個分の動きで切ることができていて差し込まれるような感覚があります。Aさんはループドライブは苦手でも弾き飛ばすのは得意ですから、粒と反転ツッツキを混ぜて相手のツッツキを浮かせ、それを叩いていくのが良いと思われます。このツッツキを自在に使えれば、ループドライブがなくても攻撃していくことが可能です。一方でBさんは、反転ツッツキの回転量こそ多いもののテイクバックがあるためにスイングが大きく、ツッツキの速度はゆっくりです。ある意味”カット型らしいツッツキ”ですけれど、粒との速度の差が無いため相手に合わせられてしまうでしょう。しかし彼女の場合は少し浮いたツッツキを叩くより、下から持ち上げる方が合うようですのでループからスマッシュの練習をするのが良いと思っています。

個人差はありますが、私の一番の武器を短い時間で伝承できたことは嬉しいです。やはり自分が一番自信のある技術は迷いなく表現できますね。このツッツキによって彼女たちが試合で1点でも多く取れたなら、もう言うことはございませんね。

 

もし時間的に余裕があれば、フォア粒ツッツキもやってみてもらおうと思っています。この技術を渡しは、反転してバックツッツキしようと待っている状態で相手がフォアに送ってきた時に、緊急避難的に使っていました。しかしなかなかどうして、これを嫌がる相手は多いです。私はバックであれば粒でもいくらか引っかけることができますが、フォアではドナックルになるようで相手がオーバーミスをすることが多いのです。カールP4で、しかも私とは別の人間が同じことをして効果があるかは分かりませんが、緊急避難用にいくらかやっておくべきとは思います。

 

 

(おわり)