”オーラ”の正体は気迫??

水谷選手の著書『負ける人は無駄な練習をする―卓球王-勝者のメンタリティー』の中で、トップ選手にはオーラがあるというお話がありました。

それと同系統のものなのかは分かりませんが、私も一度だけ、そういうオーラのようなものを感じたことがあります。

 

 

大学の1年上の女子の先輩に、四天王寺高校出身の選手がいました。Aさんとしておきましょう。高校在学中には石川佳純選手とダブルスも組んでいたとか。当然全日本や東京選手権一般の部などに出場している、私からすれば天上人でありました。

 

私が大学2年の夏に合宿がありました。そこで監督督の指示があり、Aさんと条件付きゲームをすることになりました。第1セットは8点ハンデで8-0からスタート、そのセットを取ったら次は6-0からスタート…のように、こちらがセットを取れればハンデが2点減り、取られればハンデは維持されるという条件でした。

 

当時の私はカットのカの字をようやく覚えたかな…?というレベルで、どういうプレーをしたのか全く覚えていませんが、最初のセットを取ることに成功しました。

「さすがに3点は貰えるんだなぁ…」なんて思いながらチェンジコートし、さぁ第2セットを始めようと思ってAさんの方を見遣った時です。

「え゛っ…怖い…」と恐怖を感じたのです。

 

Aさんは客観的に見ても可愛らしいお顔で、普段はフワフワしたような人だったんですね。(Aさんと同期の先輩によればそうでもないようですが^^;)

それに、別段私を睨んでいたわけでもないんです。ただ真剣な顔付きになっていたというか、「もう次のセットは絶対に落とさない」という気迫を感じました。

あの時感じた恐怖感は、今でもはっきり覚えています。蛇に睨まれた蛙とはまさにあの時の私だなと。

 

ハンデも6点になったことで失点が4回許されるのも加わってか、第2第3セットは1点2点に抑えられたような気がしますが、あの瞬間が強烈すぎてその先は記憶に残っていません。

 

あの時私は初めて、全国区の本気と対峙したのです。ああいう経験を小中学生で積んでいれば今頃はどうなっていたのかな…とか、考えちゃいますね。

まさか台を挟んで相手に恐怖心を抱くとは思ってもみませんでしたが、あれが水谷選手の言うオーラなのではなのかしらと最近思っています。

 

Aさんは大学卒業後、実業団へ行かれました。ああいう気迫を纏えるまでに至った人間がようやっと行ける、それが実業団なのだと考えると、やはりAさんは選手として立派だったなぁと感心します。Aさんに限らず実業団に行った人、また行った経験のある先輩を見ていると練習前の準備から練習後のケアなど、とてもきちんとしてますね。

なかなか真似できないレベルの丁寧さで、皆さん卓球と向き合われてました。ああいう選手を間近で観れた、お話が聴けたという点で、高校まで勉強を頑張っておいて良かったなぁとは思います。勉強を削って卓球をしていたら、あの環境にアクセスできなかったでしょうから…

 

 

ああいう気迫を纏う人間になりたいなという思いと、Aさんくらいカットが上手くできたら楽しいだろうなぁ…という思いから卓球を続けております。

フォアハンドがどうのこうの言ってる場合じゃあないと。ワタクシ、今日も練習を頑張ります!

 

 

 

(おわり)