今回から数回に分けて、中学スタートの各戦型の選手が、試合で主にどのような展開・戦術を通して得点するかをまとめていきます。試合で実現したい内容から逆算することで、どんなサービスを覚える必要があるか、どのような技術練習を行う必要があるかが明確になります。
戦型の分類の仕方はいろいろありますが、ここでは試合展開や戦術の内容が似ている戦型を一まとめにしています。
今回は、シェークの裏裏・バック表・フォア表、ペンの裏裏・フォア表を攻撃型として一括りにし考えます。
試合での戦術(とそこからの展開)
- ロングサービスからの3球目・5球目攻撃(→上回転のラリー)
- ショートサービスからの3球目・5球目攻撃(→上回転 or 下回転のラリー)
- 下回転系サービスからのツッツキラリー(→下回転のラリー)
1がメインの戦術であり、2と3は1を効かせるためのいわゆる「見せ球」です。
ツッツキの技術レベルにより配分は変動しますが、1,2,3でおよそ4:1:1や5:1:1で出していきたいです。1セット11本先取なので、例えば11-9や10-10のように計20点分になるまでには互いに10回ずつサービスを出すことができます。その内の6~7回はロングサービスで、相手の待ちをロングサービスへ絞らせないために他のサービスを混ぜるイメージです。
地域によって競技レベルに差がありますが、中学スタートの選手同士で上回転や横回転系のサービスを出せば、多くの場合相手は上回転で返してきます。(なぜなら、それらの回転に対してツッツキしてしまうと、高く浮いたりオーバーしたりするからです。)相手の上回転でのレシーブを、3球目攻撃で狙い打ちます。ロングサービスはサービスが速い分、相手のレシーブも早いタイミングかつ速いボールで返ってくるという点でリスクもあります。しかしながら、初級者段階のうちは自分が強く打っていけるボールが上回転のボールに限られます。ですので自分から攻める場合は、相手にツッツキをさせないような回転のロングサービスを出していきましょう。
ロングサービスばかりだと、コースを散らしたとしても、相手は少し台から距離を取ったり、ロングサービスだけをイメージして待ったりなどの対策が可能です。そうした相手の対策を完璧にさせないために、ショートサービスを混ぜます。この時の回転は、相手にどんなレシーブをさせたいかを考えて決めます。自分がツッツキを得意としていて、相手にツッツキレシーブをさせてもそこからのラリーで得点できるのであれば、下回転系のショートサービスを出すのが良いでしょう。ツッツキよりもドライブやスマッシュの方が得点が見込めるならば、横回転や上回転系のショートサービスを出して、相手に上回転でレシーブさせるようにします。
下回転系のサービスを出すと、多くの場合はツッツキでのラリーになります。3球目攻撃を狙ったりラリーの中で攻め込むというよりも、守備的なラリーをして粘り切るのだと覚悟を持ってサービスを出しましょう。サービスを出す前に、サービスの後の展開を決めておくことは試合において非常に重要です。なお、ツッツキが苦手であれば、下回転系のサービスは一切出さないというのも良い選択です。その場合は、ロングサービスとショートサービスを使い分けながらコースも巧く配分し、相手に待ちを絞らせないようにしましょう。
3球目で狙い打つのが難しい場合(ここは選手の特徴や相手のレシーブによって変わります)は、3球目を何とか返球して5球目での攻撃を狙います。自分の3球目攻撃のパターンが確立されてきた人であれば、3球目攻撃で攻め込んだ後の相手の返球をさらに狙い打つ、つまり3球目と5球目での攻撃をセットにした、コンボのような攻め方まで練習してみましょう。
練習すべきサービス
- ロングサービス(上回転or横回転とナックル)
- ショートサービス(上、横、下回転)
- 下回転系のサービス
実際には下回転系のサービスも長く出せばロングサービスと言えるのですが、優先順位で分けるため別々にしています。
とにかく自分で点を取るために練習したいのが、ロングサービスです。このサービスで重要なのは、重要な順に、高さ→コース→スピード→回転です。どんなサービスも一般に、低ければ低いほど良いです。逆に、どんなにスピードと回転があっても高いとその効果は半減してしまいます。
右利きの選手であれば、右利きの相手のバックサイドへ厳しく出せるようにしたいです。フォアサービスであれば、自分のバックサイドから相手のバックサイドへ「台の対角線の外側」を狙って出せるように練習しましょう。対角線の外側へ出せると、①相手がレシーブしにくい、②相手をバックサイドへ大きく動かせる、③レシーブのコースを限定できる、という3つの良いことがあります。フォアサービスではその他に、相手のフォア、ミドル(≒体のそば。右利きの相手であれば、右ポケット辺りを狙おう。)へできるだけ同じフォームから出せるように練習します。
ショートサービスやきちんと下回転の入ったサービスは、アドバイスできる経験者がいないとやや難しいです。そんな場合は、ナックル(≒ゆる~い下回転。無回転でなくて良い。)のロングサービスを練習しましょう。ナックルで出すメリットは、相手が当てるだけのレシーブをした時に落ちる、つまりネットを越えないことです。上回転のロングサービスを返せる角度で相手が当てた時に、ネットをぎりぎり越えない程度に落ちてくれるだけの、ほんの少しの下回転が入っていれば有効です。大事なことは2つで、①「相手がラケット角度を変えないと返せない」程度の回転差があること、②自分がサービスを出すときに同じようなラケット角度で出すこと、です。②について、ラケットを上に向けていかにも下回転を出すようなフォームで出しては、ツッツキされてしまいます。上回転のロングサービスを出すときと同じように、ラケットを立てて(面を相手に向けて)ラケットをボールにぶつけるような出し方で少しだけ下回転をかける練習をしましょう。①と②が実現できれば、究極ロングサービスのみで上or横とナックル(ゆる下)を出し分けるだけでも戦えるでしょう。
もっと詳しいことや具体的な練習の手順や方法、意識するポイントなどは、ロングサービスのみを取り上げた記事でまとめようと思います。
必要な技術練習
- [単]上回転に対するフォアハンド、バックハンドでの強打
- [単]フォアとバックのツッツキ
- [単]速い上回転のボールに対する、フォア・バックでのブロック
- [複]サービスから3球目、5球目
[単]は技術単体の練習を意味します。試合での展開や戦術が完成した料理だとすれば、料理を作るのに必要な”食材”を準備します。食材の準備は別の記事でも書いたように、個人の技術レベルに合わせて多球練習、半多球練習、1球練習から選択して行います。
強打についてはフォアとバックどちらか得意な方だけでも十分です。特に得意と苦手が無ければフォアの強打をまずは練習しましょう。
ブロックも練習しておきたいのは、ロングサービスに対するレシーブが速いボールだからです。3球目攻撃は相手のレシーブのコースを予測して行いますが、時には予想外の場所へレシーブが来ることもあります。そうした予想外のボールに対してはブロックで返球し、そこからラリーに持ち込んで粘りましょう。
今回のポイント
- まずはロングサービスを多用しよう。上回転のレシーブをさせて、それを狙い打とう。
- 相手にどんなレシーブをさせたいか考えて、自分の出すサービスを決めよう。
- 自分が3球目攻撃で攻め込むためには、相手にうまくレシーブをさせないこと。待ちを絞らせないように、ロングサービス以外のサービスを巧く混ぜて相手を攪乱しよう。
(おわり)