怪我を押して出場させることで発生する問題

                      

怪我の実態

                      

先日身体を痛めていた件の子と少し話しまして、実態が見えてきました。

 

練習だけで痛みが顕著なのかと思っていましたが違いました。

実際には団体戦の日にも歩くのが辛いほど痛みがあり、団体戦に出るのを控えたいと先生に申し出たそうです。

しかし先生の反応は否定的で、あなたには出てもらわないと困るから、そんなのは通らないというような回答だったとのことでした。

痛みを押して出場したものの、結局は1年生と当たった以外負けてしまったと彼女は語っていました。

 

 うーんと唸りました。

まず、誰がどういった理由で困るのでしょうか。

もし先生自身の評価に繋がるから困るというのであれば言語道断、おかしな話です。

団体の他のメンバーにとって損失だ、というのならまだ分かりますが、それでもきちんと説明すれば他の生徒たちも納得するはずです。

さらに言えば、そこまでの痛みを抱えた彼女より、多少技術力は劣っていても元気な子を出したほうが勝機もあったと思いますし、誰も不幸にならずに済んだはずです。

 

                      

恐ろしい可能性

                      

後遺症が残らなかったから良いものの(今ではもう痛みが引いています)、もし無理をさせて一生卓球出来ない身体になったらどう責任を取るのでしょう。

オリンピックや世界選手権の決勝ではないのです。一生残るかもしれないリスクを背負ってまで出るべき試合だったとは思えません。

特に彼女は高校以降も続ける可能性が高いと思われるので、一生卓球とお友達でいられるよう、先生には目の前の一戦より未来を見据えての配慮をしてもらいたいものです。しかしながら立場上あまり強く言えないのが口惜しいです。私のできる範囲で、カバーしていきたいところです。

 

                      

そして大きな問題へ

                      

こういうことが繰り返されると、指導者と子供たちの間での信頼関係が修復できないレベルまで落ち込みます。そうなるといくつか大きな問題が発生します。

 

まず、先生が正しいことを言っていても素直に受け入れづらくなります。彼女たちはオトナですから、それでも表面上は指導を受け入れているように振る舞いますが、実際にはすでに、聞き流していたり疑いを持って聞いていることがあるそうです。

そうなってくると生徒からの質問や発信がなくなり、指導が通っているのか確認できなくなります。先生自身が自分の指導について振り返ることも無くなり、症状としては末期です。

また、外部コーチ的な立ち位置にいる私も信頼して行動できなくなります。もっと生徒から受信する柔軟な方だったらもっと突っ込んだ話も先生と出来ると思います。しかしながら現状では、卓球の技術や練習、メンタルに大きく関わる話以外はしづらいと思ってしまっており、細かいケアの話はできません。

 

一番問題なのが、生徒たちが何か問題を抱えた時に先生に対して言い出せなくなるということです。一番多く部活動を見ることになる大人に対して信頼して相談できないと、問題への対処が後手に回ることになり危険です。

例えば今回のように、身体に痛みがある場合でもどうせ怒られるからと言い出せなくなります。そうすると無理をして悪化し、取り返しがつかなくなる可能性が出てきます。

また技術的・精神的に悩みを抱えた時、先生に伝えられるのとそうでないのとでは大きな差があります。確かに先生は技術的な問いには答えられないかもしれませんが、悩みを知ることで技術的・精神的な成長段階を把握することが出来ますし、生徒たちの悩みを集約して私に相談いただければ解決するかもしれません。

 

私が部活全体の様子を観察したり、生徒たちと直接お喋りしたりしたところでは、もはや先生と生徒間での信頼関係を修復するのは難しくなっています。

そもそも修復するには先生ご自身の考え方や振る舞いを変革することが不可欠なので、実現可能性は大変低いです。

その状況下で私が出来るのはダブルスタンダードを貫くことです。先生とは「卓球の事だけやっていますよ」というスタンスで接し、先生抜きで生徒たちと接触できるときには本音で行動するのです。

もうすでに生徒たちは、私が先生の目指すところと違うものを見ていることを認識しているようです。中学生くらいの年齢だと先生の言ったことを全てそのまま受け入れがちですが、私と先生の考え方の違いを見る中で生徒たち自身が考えを巡らせ、自分の中で取捨選択をすることに慣れてくれればといいなと思っています。

 

最後のパラグラフについては長々と愚痴のようになってしまいました…。うーん…。

 

(最終加筆日 ’16/11/10)