部内リーグ戦が数日前から始まっており、この日の前半もリーグ戦がメインだったため中盤から練習に参加しました。よって部員の様子を見られたのは二時間ほど。
カットのAさん
私との練習ではずっと、攻撃を練習してもらいました。メニューは以下の通り。
- フォアストレートのツッツキ二本、次にフォア2/3に来るツッツキをドライブ→ブロックをスマッシュ
- バックストレートのツッツキ二本、次にバックに来るツッツキをストレート/クロスにドライブ→ブロックをスマッシュ
いろいろな表現でアドバイスしてしまったのは悪いことをしたなぁと反省しつつ、映像を観て特に効果のあった表現をピックアップ。
- 左足を大きく前に出して打つ
- ミスした時のターンのような感じで、力を抜いて遠心力を使う
もう一人のカット型の三年生も同様ですが、ドライブをする際に足が台と平行になりがちです。右足を下げる、と言うより左足を前にと言った方が効果がありました。明らかに打球音が変わり、力が伝わっているのが分かります。
「遠心力を使う」というのが、彼女たちの攻撃におけるテーマです。打ちぬくにしても持ち上げるにしても、筋力ではなく遠心力を使った方がお得です。そもそも彼女たちのラケット―デフプレイセンゾー―は、遠心力を利用するための設計がされています。それを活かさない手はありません。それにこのラケットはぶつけても全然弾まないので、弾いて打ちぬくというのは難しい。
遠心力を使うには肘を伸ばし切って背中まで大きくテイクバックを取り、大きく引いた反動を使って腕全体をブンッ!と振って回転をかけます。この際、少し打点は落として下からグーンと弧線を描くようにします。こういうドライブに慣れていない攻撃型は多いので、甘くなったブロックをスマッシュで叩きます。Aさんの用具を借りて打ってみましたが、上記のような打ち方に適しているのを感じました。遠心力を使ってシートで回転をかけるとものすごく球が走りますし、持ち上げるスイングにすればかなり回転がかかります。これをマスターできれば、一本ギュンッと持ち上げて次をスマッシュで叩くことができます。このパターンはカットの後のツッツキに対しても使えますし、前でツッツキの応酬になった時にも使えます。
中国国家チームの武楊、胡麗梅もデフプレイセンゾーを使用し、このようなドライブを多用します。映像を見せようとPCまで持ち込みましたが、二時間ではそのような暇もなく…。一発で打ちぬくことを目的としないドライブなので、ものすごい練習量は必要ありません。とにかく遠心力を使う感覚と左足前の足を作ってから打つことだけを、残りの時間で練習していけば良いと思います。
ダブルス二組
三年生の前陣異質と二年生のカット型ペア
最近結成したペアで、まずはお互いの球質や得意なコースを把握することを目的として練習しました。私がフォア・バックへコースを限定し彼女たちはオール。どこに送ったら味方がラクか考えてコース取りするよう伝えました。
一年生の右裏裏シェイク(Bさん)と一年生の左裏表シェイク(Cさん)ペア
二年生のDさんとの差
経験者ペア、Bさんとは一度練習したことがありました。今回聞いてみると、二人とも二年ほど近隣の卓球スクールで教わってきたとか。同じく小学生の頃からやっている二年生のDさんの入学当初と比べると、大きな差があります。Dさんの方が明らかに強かった。Dさんは小1から遊びで卓球を始めて小5,6の二年間その卓球スクールで教わってきましたので、教わっている時間は同じくらいのはずです。B,CさんとDさんの差は何なのか大変気になります。やはり遊びとは言え小1から卓球に触れていたのが大きいのか、それともDさんの素質が大きいのか。本人とお喋りしてみたいところです。
水谷準ZLC
ふと、見覚えのある赤と黒色が配されたグリップのラケットを発見しました。まさかと思って手に取ると、なんと水谷準ZLC。これはCさんのラケットでありました。うーん、たまげます。
卓球スクールで教わっているCさんですが、コーチが選んだのか親御さんが選んだのか。次回確認しようと思いますが、私は後者と睨んでいます。というのも、彼らが通う卓球スクールのコーチは、生徒のレベルやタイプに合ったスタンダードなラケットを勧めていると感じるからです。先述のDさんは前陣高速ラリータイプなのでクリッパーウッド、もう一人の二年生は一発豪打型なのでSK7と、大変腑に落ちる用具選びでございます。このような用具を勧めるコーチが、初めて二年の中学1年生に水谷準ZLCを勧めるとは考えにくいです。下がらない戦型にこの用具を使わせる意味はありませんもの。
少し借りて打ってみたのですが、何とも不思議な打球感ですね。私自身がZLCに触れるのが初めてでしたので、なんだか奇怪な打球感だなぁという感想を持ちました。小学5年生から習い始めて二年の女の子、まだ基礎技術が安定しないレベルでこの用具、私はいいことないと思うのですけれど皆さんはいかがお考えでしょうか。明らかにこういうメリットがある、というご意見ございましたらコメントにてお知らせください。
ダブルスそのものについて
やはり経験者ですので、中1とは言っても簡単なボールを送れば返ってくる確率が高いです。技術云々や入るかどうかについては触れず、以下のようなダブルスでの心構えを伝えました。
- 味方の動きや味方のボールが入ったかどうかは見ないで、入ると思って自分の準備をする。
- シングルより待ち時間は長いけれど、その時間を目一杯使って準備しないといけない。
- 味方が打ったボールが返球されてくるので、思わぬボールが来ることがある。シングルよりも足を作る意識を強くして、普段より丁寧に打って行くようにしよう。
前陣異質型
修正が遅かったため、三年生の前陣異質は皆ループドライブに対して無力です。これはカット性ブロックを教わっておらず、当てるだけのブロックしかできないためです。また、相手が打つコースを読む訓練も積めていないと感じます。バックへのボールは多少性質が違っても返球できますが、フォアハンドで対応する際に苦労しています。フォアはバックのようなショートができませんから、弾く・流し打ちする・かける・乗せるといった打ち方の中から選択をしないといけません。フォアハンドの打法も教わっていませんが、それぞれの技術紹介して合ったものを武器にしていく時間はもうなく、打法が無ければ「こういうボールにはこの打ち方がラク」という見極めを練習することもできません。
やはり必要な技術をきちんと教えられない環境で前陣異質型にさせるのはちゃんちゃらおかしい話です。当てるだけで勝てるのは一年生の内だけです。カット性ブロックと流し打ちくらいは教えてあげないと、行き詰まってサンドバックになってしまいます。できれば技術の使い方、組み立て方も一緒に考えてあげたいところです。そもそも先生たちがそういう技術の存在を知らないというケースは多く、そうなったらどうすることもできないなぁと。三年生の前陣異質については、もう大きなことはしてあげられません。チェンジしている時間はないので、今出来ることでなんとかやっていってもらうしかない。悲しい言い方をすれば、「総体が終わるのを待つだけ」です。彼女たちに出会った時に私にもっと前陣異質の知識があればと、申し訳ない気持ちと間に合わなかった無力感でいっぱいです。
最近私が前陣異質について勉強し始めたこともあって、二年生には三年生が苦労した部分を解消するような練習をしてもらっています。ショートとプッシュはもうある程度できますから、カット性ブロックと流し打ちを自分のものにすれば戦術を組み立てることができます。
誤解して欲しくないのは、前陣異質の生徒たちが悪いのではなく私を含めて指導者が悪かったということです。よく知らないのにペン粒にさせるのはダメなんだって…
彼女たちが高校でも続けると決めているなら、必要なことを今から練習させてあげられるのですけれどね。「高校でも続けるの?」とは、なかなか聞けないなぁ…
(おわり)