大学時代の練習でも感じていたことですが、まさに表題の件について考えていることを文字に起こします。
「恩恵と弊害」としましたが、弊害の方が気になっています。
ですから先に弊害の方をまとめます。
それぞれ重要度の高いものから並べます。
[弊害]
1. 対上回転およびバックハンド技術の成長を観察できない。
これを常々感じます。大学時代にも強く感じたのがこれで、同じくらいの技術レベルの友人とはこういう話をしたことがありました。
カット型として練習相手をすれば、当然生徒はカット打ちを主に行うことになります。そうなるとフォアハンドでの対下回転ドライブが中心になります。こちらがロビングやフィッシュ、カーブロングといった上回転系のボールを送れば対上の様子を見ることができますが、強打しようとすればフォアハンドでの処理が中心になります。これらをバックハンドで処理するとしても、大抵はブロックや合わせる程度で強打は限られます。結果、バックハンドを”振る”場面は非常に少なくなります。
対上やバックハンドの技術を練習したいなら合わせることはできますし生徒同士でも出来るので、ここはそれほど大きな問題ではありません。
私が気になっているのは、練習しながら観察できない技術があることです。
例えば「あの子は最近切り返しがスムーズになった」とか、「多少相手のボールが荒れてもバックハンドが安定するようになった」と言った評価が出てきません。
すなわち、対ドライブ主戦型の能力を見られないという問題が生じます。
このような事態を気付かずに放置すると、手痛い失敗へ繋がる可能性があります。
つまり、「最近上手になってきたと思っていたけれどそれは対カットに限った話で、バックハンドをもっと練習させた方が良かった」などと試合が始まってから気付くことになりかねないということです。
もちろん、これが失敗とはならないこともあるでしょう。「ふと気付いたら、こんなにバックハンドが上手になっていた!」というケースです。
そうは言ってもこれは”たまたま事故が起きなかった”ケースですから、事故を想定してリスク回避を行わなければいけません。
こういった点で、少し気を付けなければならないと感じています。
2. 対ドライブ主戦型の練習量を増やせない
もちろんメニューを工夫すればできないことはないですが、非常に限定されてしまいます。せいぜいワンコースでブロックをするくらいでしょうか。
それに、女子の速いテンポに慣れていないこともあってドライブ主戦型としての送球にはかなりあやしさがあります。ラリー系のシステム練習の相手としては、中学生同士の方が良さそうかなぁと思う今日この頃です。(その代わりに、ドライブ主戦型にはできないタイプの練習相手ができるのですけれど…)
[恩恵]
1. 幅広い球種のボールを送り出すことができる。
これが最大のメリットと思っています。
幅広い球種、特に中学生同士では見られないようなボールを送り出すことができます。これはカット型のプレー領域が後陣にまで達することと、カットそのものの性質にその理由があります。
切れたカットは言うまでもありませんが、他にも中学生にとって未知なるボールがあります。以下に、私が出せるものを列挙しておきます。
赤字は特に生徒たちが苦戦しているものです。
- ツッツキ以上に切れた下回転(=カット)
- ナックルカット
- ロビング(上回転ベース、上回転だけれど大きく曲がるもの、←と軌道は似ているけれどカット性のもの、など)
- 粒高でのナックルツッツキ、それと混ざる反転裏ソフトでのツッツキ
- 台の下にボールが落ちてきたところで打つ、回転の予測がしづらいボール
- 弾んでから曲がるカーブロング、曲がるようなスイングでも曲がらないカーブロング
- スマッシュに対する中/後陣からのスマッシュ
特に曲がるボールについては、中学始めの生徒に空振りが多く見られます。
撮影した映像を確認すると、私が打った直後の球の飛び出しはよく見ており、コースを予測して移動できています。しかしながらこちらの”打ち方”を考慮に入れていないため、バウンドする頃から軌道が曲がり始めると空振りをしてしまいます。
また、台の下で処理しているためにスイングが見えないボールにも生徒たちは苦労しています。
こういったボールを知っておく/経験しておくことで、予測や対応の幅が広がることが期待できます。
私の場合はツッツキに反転が混ざるので、こちらのラケット面がどちらなのかを観察しなければいけません。ドライブ主戦型との練習よりも1本1本の間は長いはずですが、変化の幅が大きいため予測や準備で忙しいと思います。
普段強く意識していない部分に意識を向けさせられるのも、カット型で相手をする利点です。
2. 十分なカット対策ができる。
たとえ部員にカット型がいたとしても、中学始めの場合は成熟までに時間がかかるためカット対策としては不足が生じがちです。この中学生同士では実現しづらいカット対策をカバーすることができます。
また、きちんと回転をかけて強くボールを打つという練習もできるのが恩恵の一つです。
現在の部のエースの親御さんによれば、彼女は最近カット型と対戦すると余裕をもって生き生きとプレーするそうです。本人に確認していないので本当のところは分かりませんが、私と普段から練習していることが実益となっていればいいなと思います。
おわりに
カット型で相手をするからこそできる練習も確かにありますが、中学生同士の試合は対ドライブ主戦型とペン粒でほとんどが占められます。
カット型から見える様子だけで評価することが無いよう、気を付けなければなりません。ドライブ主戦型との様子も観察し、時には自分がワンコースでフットワークや切り替えし練習の相手をしてみないといけないなぁと思うところです。