卓球は他の球技と比べてボールやプレー領域が小さい分、細かいことがプレーに大きな影響を与えます。今回は練習・試合環境をベストに近づけられるよう、また認識していない要素によるミスを減らせるよう、どんな塵が存在するか整理しておこうと思います。
プレーや練習の質に影響する塵たち
- 台の傾き
- ネットのたるみ
- 湿度による床の乾燥/湿り気
- ボールの歪み
- 台上の場所によるバウンドの違い
これらの要素によって、我々は気付かないうちに余計なミスを強いられています。払える塵を払っておけばそのようなミスが減り、ラリーが伸びて打球数が増え練習の効率が上がります。
1.台の傾き
台を横から見た時に、∨状になっている場合と∧状になっている場合があります。カット型にとって前者はドライブが止まりカットも止まるので非常に有利ですが、後者はドライブがバウンドしてガクッと沈むので圧倒的に不利になります。と言うこともあって私は台の傾きに敏感になったのですが、そもそも傾いた台で練習しても正しい技術は身につきません。公式では平らな台を使うわけですから、平らな台で練習しなければ本当の卓球をしたことにはならないのです。
普段から台の傾きに気を付けていれば、台のそばに立った時点でどこが低くてどこが高いか見当が付くようになります。あとは台の高さに目線を合わせて横から見たり、ボールを台の隅でバウンドさせれば傾きが分かります。中学生たちには練習前に台の傾きを無くすよう何度か言ってきましたが、影響を明確に感じないためか忘れがちなようです。
傾きを解消できない古い台の場合でも、角材や雑誌を挟むなどしてなんとか整えたいものです。
2.ネットのたるみ
これによる影響が一番目に見えやすいと思います。本来ならネットミスになるボールが入ってしまいます。これも正しい打球感覚が身につきませんから、たるんだネットで練習しても意味がありません。
残念ながらひもが抜けているまま使われているネットは公立中学校では多く、何か大体のひもを通せばいいのになぁと常々思っています。十分強度のある紐なら何でもいいので、これは工夫次第でどうとでもなる塵です。
中学生たちはネットのたるみには比較的敏感で、できるだけ”ちゃんとしたネット”を使いたいという気持ちがあるようです。しかしながらひもの抜けたネットを使わざるを得ないことも多く、辟易しているようです。私はたるんだネットで練習相手をするのが時間の無駄と感じ、つい先日マイネットを購入しました。
3.床の乾燥/湿り気
これは天候や気温による空気の湿度に起因します。乾燥すれば床は滑りやすくなって踏ん張りが効かなくなり、回り込みや前後左右に動いてのカットに影響が出ます。湿っているとシューズが止まるようになり、素早く動いた時に急ブレーキがかかって転んだり動きに不具合が出たりします。また、ツッツキの際に足でブレーキがかかりすぎて吹っ飛んだりもします。前後動が多いカット型にとっては乾燥も湿り気も致命的です。
乾燥している場合には濡れ雑巾を用意して時々踏むようにすればだましだましプレーすることができます。湿度が高い時には乾いたぞうきんで靴底の湿気を取るようにします。
ここ最近(5月に入ってから今くらいまでの時期)はカラッとした日が多く、中学生たちも床が滑ることが気になっているようでした。そこで濡れ雑巾があると解消できるよと伝えたところ、滑る日にはこちらから言わずとも用意するようになりました。私自身でもマイ雑巾を持っていくようにしています。
4.ボールの歪み
私のレベルではまだ、ラリー中にボールの歪みを認識できません。しかしプラスチックボールは歪んでいるものばかりであることは確かです。スリースターでさえ歪んでいるものだらけで驚きます。割れやすくて歪みも多いくせに価格はセルより高いという、ふざけた製品を買わされていますよ我々は…。
認識できずとも歪みがあるのは確か、けれども公立中学校で新球を選んで練習などできません。となればボールの歪みには目を瞑って、他の塵を払うことに致しましょう。と言うかこういう不確定要素があるから、台の傾きやネットのたるみに敏感にならざるを得ないのです。
5.台上の位置によるバウンドの違い
支柱の上部は弾みが強く、支柱から遠い台の中央はバウンドが抑えられます。これは全国区の選手から教えてもらったことで、その時に大変驚いたことを覚えています。不確定要素ですしこれを明確に認識できるのは非常に高いレベルと思いますが、こちらから積極的に利用していきたい要素でもあります。
ただでさえ自分たちの動きはズレるし相手のボールも一本一本違います。それに上記のような塵が積み重なって山となれば、もうミスの原因がなんだか分からなくなってしまいます。初心者ほど払える塵を払っておくことが、上達を後押ししてくれると思います。
(おわり)