このお写真なんかよく似ていると思うのですけれど、人様にはきっと理解されないんですね。どうもワタクシ、人のお顔をだいぶ”ざっくり”と見ているようで。しょっちゅう「この人とこの人似てない?」なんて思っているんですね。
というわけで、二年生の頃のお話を。
個人戦で県総体出場ならず
カット型の3年生(当時)のベンチに入っていたためか、彼女の敗戦を見た記憶がありません。気付いたら負けてしまっていました。
本人はさぞかしショックだったことでしょう。
そこへ、お父様からの叱責が襲うわけです。もう心はズッタズタになりますわね。
そこに追い打ちをかけるように
「お前は地区総体で負けてるんだから、もっと集中してやれ」
と、顧問から有り難いお説教が飛びます。
予期せぬところで負けて県大会に出られず、普通の人間であればふて腐れるなり気持ちが沈むなりしますわね。そんな状態で練習に集中しろというのは大人であっても無理な話です。本来であれば、指導者側が心情を察してリカバリーに回るべきところです。
ところがSさんの様子を見た顧問が、彼女を倉庫に呼び出します。練習態度が気に食わなかったのでしょう、何やら長く説教されていまして周りの選手もざわついています。4時間の練習時間うち1時間がそれに費やされ、後半は泣いてしまい練習にならない状態になってしまいました。
この時の練習の異様さを、当時1年生だった選手たちは今でも覚えているようです。そういう様子を見て、彼らは顧問への信頼をさらに失っていくわけです。
練習が終わって体育館を出る頃にも目に涙を浮かべている状態で、ふと見やりますと”この世の終わり”みたいな顔をしていまして。「このまま帰したら、首でも吊るんじゃあなかろうか」という思いがよぎりまして、私から声を掛けておしゃべりをしました。引き留めよう/引き延ばそうという意志はありませんでしたが、思いのほか彼女がいろいろを語ってくれてそれを聞くうちに1時間以上経っていました。
部活とお家で精神的な負荷にさらされながらも、自分の思考をまとめて伝えることができることに改めて感心した覚えがあります。大抵の人は、言えなくなってしまうと思うんですね。同時に、そういう状況下にありながら自己開示が深いのにも驚きました。「ここまで心の内を晒してくれるんだな」と。
話は卓球の結果云々の話から家庭・部活ついて思うことへ移り、いろいろと不満を吐き出せたのかなと。私にとっては衝撃的な発言もいくつかあり、「うーん、そうかぁ…」と内心唸っておりました。
話を聞いていますと、彼女の周りにはプレーを妨げる要素が多すぎると感じました。
用具、戦型
2年生の秋ごろから、用具の調整について私から提案をしておりました。スイングも足の動きも十分な場面でも、回転がかかり切る前にボールが飛んでしまっていたからです。そのころはオールラウンドエボリューションにファスタークC1/G1だったと思います。なんやかんやあって、最終的には”試合で入る用具”に落ち着きました。変遷は以下の通り。
R:オールラウンドエボリューションFL
F:ヴェガヨーロッパ厚→ファスタークC1厚→ロゼナ厚
B:ヴェガヨーロッパ厚→ファスタークG1厚→ラクザ7ソフト厚
うーん、今になるとずっとヴェガヨーロッパでも良かったんじゃないかい?とも思いますが…
ラクザ7ソフトでのバックハンドのやりやすさには感動したらしく、しきりに感心していたのを覚えています。これは男子の先輩数名が使っていて試したら上手くいったためチェンジ。しばらくC1/7ソフトでやっていましたがやはりC1のシートが硬すぎると見えたため、ロゼナを試してもらって落ち着きました。
ロゼナを試してもらうにも「違うラバーにするのは怖い、冬まで変えずに行きたい」という彼女の考えを尊重し、大会の減る冬まで待つことに。
C1に比べればロゼナはだいぶ食い込みが良いのでお気に召さないかな…?と心配していましたが、「C1にはC1の、ロゼナにはロゼナの打ち方がありますね」などと名言を放ち、ロゼナに順応していきました。
試合では大人しいループドライブ、掴まえてから飛ばす強打が打てるようになり、成功だなと手ごたえを得ました。(まぁラバーを変えただけでなくて、下準備の効果が出た結果でもありますが)
戦型に関しては、小学生の頃にバック表を勧められたが断った、という話を本人から聞きました。変わったことはしたくないから、という理由も添えたそうです。
競技的に見れば正しいとは言えない選択かもしれません。表に変えていれば、勝ちが増えた可能性があるからです。
それでも私は、こういう価値観とかそれを堂々と言えるところが彼女の人間的な魅力だと思います。卓球競技で食べていこうという世界ではないので、本人の納得感が大切とも考えていますし。
小学校高学年で理由まで添えてコーチにNOと言える、これは素晴らしいと大変感心しましたね。「やーっぱり人生二周目なんだよ、君は~。」なんて内心思ったりして。
(Part3へつづく)