今年も新入生入部の時期がやって参りました。
以前も初心者の用具について書いたことがありますが、この1年でいろいろと情報が更新されたので再考。
未経験の女子中学生を想定。
◎最初はシェーク裏裏で
ラケットはオールラウンドエボリューションがド安定。失敗のリスクが極めて低い。
球持ちが良く弾みも適度。FLグリップは比較的細めで、中1女子でも握りやすい。
裏裏から、回転系のバック表まで。
他に使って感触が良かったのはスワットカーボン。オルエボ程度の弾みで打球感はもう少しはっきりしている。ノーマルスワットと違って板厚が薄いので、通常のFLグリップでも女子の小さい手に馴染む。※板厚はどちらも6.0mmでした。握った時には確かに太さが違いましたが、個体差の可能性があります…
ラバーは両面とも、ライガン中厚がオススメ。ヴェガイントロやファクティブも同じ層向けのラバーだが、ヴェガイントロは触ったことが無いので何とも言えない。ファクティブはライガンに比べればシートの回転性能が落ちる印象。その反面直線的に飛んでスピードは出るので、プレースタイルを決めた上で2枚目としてバックに貼るのはあり。
その場合はバック表も選択肢に入るので、表とも競合する。左利きの選手で、ロングサービスからバックブロックしてラリーに持っていくような方針をとるならアリかも。
◎3か月~半年経ったら分岐をしていく
サービスを覚え、フォアハンド・バックハンド・ツッツキを覚え始めたら、それぞれの希望や適性を踏まえて目指す戦型を選手と相談する。適性は性格的なものよりも、どういうテンポ・展開のラリーが得意かを見る。
指導者から見て「この子はバック表が向いている」と思っても、本人が納得しないことがある。変更した方が勝てる可能性が高まること、それぞれの戦型の特徴を説明した上で最終的には本人に判断させる。
◎シェーク裏裏
ラケットをそのままオルエボで行くなら、フォアをライガン厚にするとかロゼナにチェンジするなど。バック面はライガン中厚のままでも、ラクザ7ソフトにチェンジもアリ。
ラケットをもう少し硬いものに変更するのもアリ。私が練習相手として参加しているレッスンでは、4月から習い始めて秋~冬あたりにはオルエボから馬琳ハードカーボンに替えさせていました。コーチ曰く、「馬琳HCは、飛ぶ(=飛距離が出る)のにくっつく(=球持ちが良い)からいい」。確かに触った感触はその通り。飛ぶのに弾きすぎない。一回くっついてから振り切るとボールの威力はオルエボとは明らかに違う。
中学校だけではここまで達する前に引退を迎えるかもしれないが、選択肢として。
ちなみに馬琳HCを使う彼女は、現在両面Q3。個人的には最初見た時ギョッとしたけれど、コーチ曰くQ3は上級者ではなく中級者向け。モヤっとくっついて飛ぶ…らしい。彼女の場合は週2~3で振り切る練習を大量にこなし、練習相手もコーチか小学生スタートの選手なので…。あくまで環境の良い中で育った、特殊な例ということ。
◎バック表
ラケットはオルエボのままでも、7枚合板への変更でも。
最初は回転系の表で、表ソフトそのものに慣れる期間を設けた方が上手く移行できる。ブースターSAやモリストSPなど。私はSAの方しか触ったことが無いので、こちらの方が安心してオススメできます。テンションによって適度な弾みが確保され、かなり球持ちが良いので裏に近い感覚で打つことができます。非テンションは今日日、回転系・スピード系ともに厳しいかな…。
フォアとの球質の差を出して勝ちたい場合は、ナックルの出やすい表に変更する。
とは言え中学スタートであれば球質の差よりも良いサービスを出して自分から先手を取れるかが大きい。
◎バック粒
裏裏を経た後なら力加減を調整する能力が育っているので、いきなりOXでも問題ありません。短く止められるよう、非テンションの粒高で。
カールP3α、P3、P1あたり。フェイントロング系は…前陣の粒高として使われている話をほとんど聞かないけれど、何か理由があるだろうか。
バックのスポンジが無くなるとフォアの弾みが落ちるため、フォアのラバーは厚くした方が良い。
オルエボにOX粒を試したことが無いのでオルエボについては分からないが、もう少し硬いラケットの方が粒の変化は出しやすいはず。セプティアーはブロックがビタッと止まるし低く飛び出すのでツッツキを強制しやすい。プッシュはくっつきすぎず飛び出すし、フォアハンドは走るしでなかなかよさげ。
ブロックマンⅡは…シェークバック粒には厳しい。ペン粒と違ってフォアハンドで裏ソフトを使う必要がある以上、ラケットはそれなりに威力を出せるものでないといけない。粒頼りでは勝てないし、本人の自己肯定感も上がりづらい。
◎フォア表
フォア表の場合、オルエボから7枚合板に替えることをオススメする。
スワット、SK7クラシック。フォアのラバーはインパーシャルXBを。ドライブするとしっかり回転がかかり、スマッシュすると見事なナックルになる。この回転差があってこそのフォア表。
コーチ曰く、オルエボのような球持ちが良いラケットでは回転差が出しにくく、球の飛び出しも遅いのでせっかく強打してもなかなか得点にならないとのこと。
7枚合板のような硬いラケットで強打すると飛距離も出るし、ナックルを出しやすいということでした。そういう意味では最初の選択としてスワットスリムグリップなんかもアリ。通常のFLはちょっと太いかな…。
◎カット型
裏裏を経ていれば、デフプレイセンゾーや松下浩二ディフェンシブ、ハッドロウシールドのような超低弾性のラケットではなく、カット用として標準的な弾みのものを選ぶのが良い。
松下浩二、ティルナあたり。
ティルナはライガンと合わせるとかなりカットもドライブもやりやすいのでオススメ。結局、自分がちゃんと使ったものでないと自信を持ってオススメできませんわね…。ライガンについては厚で良いでしょう。
バック面のラバーは、カールP4、P1のどちらかで良い。最初はP4からの方がよろしいかな…。粒に慣れてもっと回転の差が欲しければP1を試してみると。
(おわり)