見て覚える

最近、全く別地域の中学校に通う1年生の男の子と練習する機会がありました。

事前に中学スタートで上手くなりたい子だと聞いていたので、私は今関わっている学校の様子を思い浮かべて「フォア・バック・ツッツキを教えるところからかな…」などと考えていました。

 

ところが打ってみると、フォア・バック・ツッツキは簡単にラリーが続きます。ボールが突然違うコースへ飛んでくることもなく、こちらのシンプルな下回転SVを落とすこともなく。

普段見ている中学校なら、2年生でもこんなにうまく打てないけどな…💦とビックリしてしまいました。

 

彼の通う中学校には関東大会上位に食い込むような1年生が確かにいるのですけれど、その選手はほぼ部活には参加しないとのこと。

じゃあどうやって技術を覚えたのかと尋ねると、「先輩を見て覚えました」と。

 

部活として「見て学ぶ時間」がきちんと確保されていて、先生がいくらかは教えてくれるけれど、基本的には先輩の動きを見て真似していくのだそうです。

驚くべきことに、彼が1年生の中で抜きんでているわけではなく皆同じくらい打てるとのことでした。

 

この練習方法が効果を発揮するためには、卓球に対する興味・関心と頭の良さが求められます。

よく観察して動きをなんとなく真似することはそれほど難しくないでしょう。大変なのは力加減や擦る/弾くの割合などの打球感覚を見つけること。それを自分たちで探しながら練習できるのだから、すごい。これは、頭が良く忍耐力のある子でないとできません。

 

頭の良さは学力とは別物であるわけですが、学力を高める過程で思考・観察・分析の力は醸成されていきます。実際、今回の彼は1年生のテストではありますが今のところ5教科450点以上を維持してきているとのこと。(ワタクシもそれくらいの学力だったはずですが、あんなに上手くなれなかったぞおかしいなぁ?)

 

彼以外の1年生も恐らく学力的には決して低くないのだろうと推測されます。私が以前その学校に通うご家庭で聞いたところによれば、学校側が「うちでは塾に通う必要が無いように、学校できちんと教えます」と言い切るそうです。

学業に対する手厚く細かいサポートがあれば学力平均は上がりますし、そういう中学校であればその学区には教育水準の高い家庭が集まってきます。

そういう学校であれば見て覚えることができるのも、彼の技術レベルにも納得できます。

 

 

彼には今後、レッスンを継続的にしていくことになりました。私が今までに個人的に教えてきた選手の中では、恐らく一番卓球への関心を持ってくれるのではないかと思っています。女子に比べて県大会に行くのはレベル的にやや大変ですが、サービスとフォアハンドを覚えてオールでのツッツキを少し練習すればすぐに勝てそうです。

こういう子の場合は、卓球が学力をさらに高めるための一助になればいいですね。

 

 

(おわり)